【あんスタ】 Uninhibited Life 【男主】 (ページ9)

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次の日。
僕は怪奇現象にあった。
昼休み、いつも通りガーデンテラスで昼食をとった後のことだ。

僕はアイドル科では珍しい小さな背中を見つけた。
それは間違いなくあんずちゃんなわけで。

きょろきょろと辺りを見渡す彼女に声をかけた。

「やぁあんずちゃん。迷子にでもなったのかい？」

ばっとこちらを向いた目には、困惑の色があった。
小さくて可愛いなぁと思い、無意識に頭に手を伸ばす＿＿＿＿

と、その手は振り払われた。

「＿＿＿＿『初対面』の異性に、馴れ馴れしく触れないでください。
それに、私はあんずじゃありません。

小桜梅(こざくらうめ)＿＿＿＿あんずの姉です」

それでは、と言い残し、彼女は小走りに去っていった。
行き場のない右手には、まだ痛みがじんじんと残っている。

＿＿＿＿どう見てもあんずちゃんだったのになぁ……？

*

「ハハハハハハ！！
ナギの手を振り払う奴がいるんだな！これだからこの学校は面白い！！」

「レオ君……確かにちょっと傷ついたけど、そこじゃないよ。
あんずちゃんが二人いるってことに疑問を持ってほしかったよ……」

「っていうか、あんず、って誰だ？」

「あ、うん、やっぱそこから？」

「はっ、まさか刺客か！？それが二人ってことは……分裂でもするのかもな！」

「あの可愛いあんずちゃんが……人類の域を越えた」

「なんだお前、そのあんずって奴に目つけたのか？
まぁその気持ちは分からなくもない！なんせ、分身するんだからな！なははは！！！」

はぁ、とため息をつく。
なんだかやる気が出ない。

「そうだナギ、新曲いくつかできたぞ！お前にやる」

「いいの？」

「あぁ。これは……Knightsの曲じゃないからな」

「＿＿＿＿レオ君」

元々僕は、レオ君と同じユニットだった。
その時はもう一人いたけれど、今はこの学園にいない。

作曲とハイレベルなダンスのレオ君、パフォーマンスの彼、そして歌唱力とアレンジの僕。
一時期は学園一のユニットとして日本中、そして世界にまで噂は広がった。
一年生とは思えないクオリティで、人々を感動させたんだ。

それは、過去の話。
もう二度と実現できないであろう、ひと時の夢の話。