7話 ページ9
「ありがとうございました!またのお越しをお待ちしております!」
出入口で、お客様のお見送り。去り際、「綺麗な演奏だった」「楽しかった」と口々に褒められ、思わず、ヒナさんと顔を合わせ笑いあった。
「Aちゃん!今日もとっても可愛かったよ」
次々とお客様がお帰りになる中、ぐっと近付いてきた男性が一人。
最近熱心に通ってくれる人で、よく声をかけられる。
「ふふ、ありがとうございます」
だからといって、特別扱い出来るわけもなく…この店の歌い手として、お客様には平等に接する他ない。
「次はいつ歌うの?絶対に見に行くよ」
とはいえ、中々熱心なお客様もいるわけで…
「んー…ステージは気まぐれなので、次のお約束は出来ないんです。ごめんなさい」
「そんなこと言わないでさ、ねぇ、僕本気で君のことを応援してるんだよ」
へらり、何時ものようにかわそうとするも、中々諦めてくれない。
さて、困った…どうしようか考えあぐねていた、その時、
「困るねぇお客さん」
突如響いた、低く威圧感のある声。
「うちの大事な歌姫を口説かないでもらえるか」
幾分か丁寧な言い回しとは裏腹に、その声色やオーラはどう考えても穏やかではない。
すっかり怖気付いてしまった男性は、そそくさと帰っていった。
「すみません誠司さん…ありがとうございます」
さっきの様な、少ししつこいお客様を振り切れない時、決まって誠司さんが助け舟を出してくれる。
「A、いつも言ってるだろ。ナンパ野郎はぶん殴っていい」
「お、お客様にそんなこと出来ませんよ…」
「殴る時はグーじゃなくてパーだぞ、指の骨折れるから。んで手の甲で殴れ 」
これも、毎度のように言われる言葉。
色々な技を教えてくれるが、いざそういった男性を目の前にすると身体が動かない。
…一応、お客様だし…
「Aに物騒なこと吹き込んでんじゃねぇぞおっさん」
声がした方を振り返れば、席から立ち上がっている愛しい人。
…助けて、くれようとしたのだろうか。
「馬鹿野郎、こんなもん護身術の内だ。四六時中守ってやれるわけじゃねぇんだから、自分の身くらい自分で守れねぇとな」
その通りだ。いつだって、左馬刻さまや誠司さんがいるわけじゃない
…迷惑は、かけたく、ない…
思わず俯いてしまった、その時、
「ーっ‼」
背後から、大きな温もりに包まれた。
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和三盆糖(プロフ) - 香織さん» 閲覧、コメント誠にありがとうございます。ベタ甘な左馬刻さまが刺さったようで嬉しいです…!!マイペース更新にはなりますが、引き続きお楽しみいただけましたら幸いです。 (2021年6月6日 17時) (レス) id: 4f53f84ba0 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆糖(プロフ) - さちゃんさん» コメントいただいたのに直ぐに気付くことができず、お返事出来ておらず申し訳ございません。かなり時間が経ってしまったのでもう届かないかもしれませんが…閲覧、コメント誠にありがとうございます。どうにか完結まで頑張りますので、また遊びにいらして下さい。 (2021年6月6日 17時) (レス) id: 4f53f84ba0 (このIDを非表示/違反報告)
香織(プロフ) - 久々の更新ありがとうございます!とても気になる展開と安定の左馬刻さまっぷりで最高です。続きを楽しみにしてます! (2021年6月5日 23時) (レス) id: be1cefb69b (このIDを非表示/違反報告)
さちゃん(プロフ) - とてもすきですT_T更新楽しみにしています>_< (2020年4月6日 1時) (レス) id: ffa613b322 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:和三盆糖 | 作成日時:2019年3月3日 19時