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「に〜ちゃんも、お茶をどうぞ♪」
「ありがと。あぁもう、『講堂』と空き教室の間をドタバタ走り回ってきたから、喉(のど)が渇(かわ)いちゃったぞ〜？」
光と創にまとわりつかれながら、なずなは盛大な溜息を漏(も)らす。
こうして見比べると、なずなはさすが最高学年だ____落ち着きがある。
満たされた表情で、創がほっこりと微笑んでいる。
「ふふ。お疲れさまです、に〜ちゃん♪」
「ところで。どうでもいいんだけど、何で『に〜ちゃん』なの？」
椅子をギッタンバッタンと前後させながら、お行儀のよくないスバルが問うた。
あっさりと、なずなは答えてくれる。
「苗字が『仁兎』だから、に〜ちゃん。お兄ちゃん、年上、って感じでいいだろ〜？ んぐんぐ、お茶うまぁ♪」
至福(しふく)の表情でお茶を堪能(たんのう)しているなずなを、スバルがときどき見せる酷く冷徹(れいてつ)な表情で____観察している。
(ん〜。かわいいなぁ、に〜ちゃん。3年生とは思えないなぁ。こんな『ちびっこ集団』で、生徒会の『ユニット』とまともに戦えるのかな？)
(なぜかしら、スバルくんの心の声が意図(いと)も簡単にわかってしまうわ......)
少々首を捻りながらいるスバルを見て、Aは思った。
(まぁ、俺たちにも他人の心配してる余裕はないか)
なずなから視線を逸(そ)らし、スバルもテレビ画面を見据える。
(それよりも。生徒会の現時点での最強戦力だっていう、『紅月』のパフォーマンスを見ておくのは......。
生徒会と敵対する予定の俺たちにとっても、損はないはずだよね)
椅子の上に胡座(あぐら)をかきながらも、真剣に。
(しののんの応援にきて、思わぬ拾いものかも。どうせなら、しののんたちに生徒会をぶっ倒してほしいけど......)
横目で、鼻歌まじりに新しく紅茶をいれなおしている創を、眺めている。
手塩にかけて大事に育てた子供でも見るみたいに、スバルの眼差しは優しい。
(しののん、かんばってたからなぁ。その努力は、情熱は、報(むく)われるべきだ)
なずなが何だかそんなスバルを嬉しそうに見てから、穏(おだ)やかにつぶやいた。
「今のうちに、『紅月』の予備知識を共有しとこう。......Aちん、説明してくれる？」
「あら、部外者の私が説明させてもらっていいかしら。友也くんも、そっちの知識には詳しいはずよ？」
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作者名：白銀桜夢 | 作成日時：2018年2月10日 16時
