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重々しくうなずいて答える北斗と、物騒な言葉を口に出しながらも、まだ楽譜から目を離さないA。
「あくまで、朔間先輩や軽音部の連中は『Trickstar』ではない。彼らには、彼らの所属する『ユニット』がある。
そっちの練習もあるだろうし、異なる『ユニット』どうしが馴(な)れあいすぎるのもよくない」
実際、これまで頼りすぎていたのだ。
そろそろ自立し、保護者のもとから巣立たなくてはならない。
「これ以上の肩入れは、すべきではないという判断のようだ。というか、俺たちの意向(いこう)を尊重してくれたということだろう」
北斗はむしろ嬉しそうな、頼もしそうな口ぶりだ。
「『S1』には、朔間先輩たちの『ユニット』も参加するらしい。
せっかくなので本番では足並みを揃(そろ)えよう、強調して動こう、という打診(だしん)はきているがな」
完全に零の支配下に置かれるのではなく、あくまで対等な同盟、というかたちにしてくれたのだ。
ほんとうに、『Trickstar』を尊重してくれている。
最前線で戦うのは、『Trickstar』だ。
そのバックアップを、零たちは請(う)け負ってくれたのだ。
孤独に戦うわけにはいかない、という事実が心を軽くしてくれている。
同時に、絶対に負けられない____彼らだけの戦いではないのだ。
「ここから先は、俺たち自身のセンスで、選択で、考えで......。俺たちだけの道を、進んでいく。
立ちあがるところまでは、朔間先輩たちのちからを借りた。
だが踏みだして、歩いていくのは、『俺たち自身』であるべきだ」
この夢ノ咲学院を変えるために、与えられた恩義に報(むく)いるために、最大限に善処(ぜんしょ)しなくてはならない。
よちよち歩きの赤ん坊でも、必死に武器を握りしめて。
「いつまでも『おんぶに抱っこ』では、あまりにも情けない」
「そうだね。所詮は異なる『ユニット』どうし、いつか戦うこともあるかもしれないし。
ぜんぶ教えてもらおう、手を引いて導いてもらおう、っていうのは甘えすぎだよね」
ときどき怖いぐらいに冷めているスバルの発言に、真が合いの手を入れる。
「僕としては、地獄のシゴキを受けなくて済むだけで天国に思えるよ......。
大神くんとの特訓があと1週間つづいたら、確実に死んでたからね」
「それに、俺たちを導いてくれる存在はもういるしね。『プロデューサー』である朝霧先輩がっ☆」
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作者名：白銀桜夢 | 作成日時：2018年2月10日 16時
