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「だからやっぱり、僕たちの最大の敵は『紅月(あかつき)』だね」
「副会長の『ユニット』、やはり出てくるのか。他に参加表明をしている、めぼしい『ユニット』はいるか？」
酢の物しか食べていない北斗は、何やら酸っぱそうな紙パックのジュース____そのストローを口にくわえている。
「う〜ん。『S1』には、一般客もくるからね。公衆の面前で、恥をかきたくないのかな。有力な『ユニット』は、だいたい参加したがらないよ」
しばらく調べて、真は結論する。
「『Knights(ナイツ)』も『流星隊』も、今回は見送るっぽい」
『Knights』も『流星隊』も、夢ノ咲学院に昔から存在する、古強者(ふるつわもの)といった感じの『ユニット』だ。
生徒会が磐石(ばんじゃく)な支配を気づいた現在は、そういう生徒会と関連しない『ユニット』は目立たなくなっているようだけれど。
「ふむ。そのへんの強豪が出場しないのなら、俺たちは打倒生徒会のみに注力できるな」
「うん。参加申請(しんせい)の手続きとかもしちゃったからね、逃げられない。どのみち戦うしかないよね、がんばろう〜♪」
真が前向きに、微笑んだ。
そう、『S1』への参加手続きはすでに完了している。
教わり、教えながら、3人で手続きを済ました。
結果的に提出したのはAなのだが。
公式の、しかも規模の大きなドリフェスだ、飛び入り参加は難しい。
やはり『Trickstar』はぜんぜん注目されていないらしく、警戒されている様子もなかった。
すんなりと手続きは満了し、『S1』ての出場が決まった。
あとはその決戦を目指して、ひたすら自分たちを鍛(きた)えあげるだけである。
「......ほんとに頼もしくなったな、遊木。以前のおまえなら、及び腰になっていただろう」
「あはは。屋上から紐(ひも)なしバンジーするより、生徒会と戦うほうが気楽だよね♪」
感心するように言う北斗に、真が反応しにくい返答をする。
その直後、教室の扉が ガララッ と音をたてて開いた。
「失礼するわ」
入ってきたのはAだった。
「あっ、朝霧先輩〜☆」
即座に反応したのはスバルだった。
彼はAめがけて当然のように飛び付いてくる。
Aは動じずに彼を野放し____放置していた。
「ずいぶん仲良くなったんだな」
北斗が不意に発した。
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作者名：白銀桜夢 | 作成日時：2018年2月10日 16時
