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phrase22 ページ24

翌日、早朝。


 夢ノ咲学院の一角、軽音部の部室に____野獣の吠え声のようなものが響いていた。

 早朝だと言うのに、窓に暗幕ご降ろされており、ほとんど真っ暗闇だ。

 まるで、平穏な朝を迎えたこの世界に、真っ向から反旗を翻すみたいに。

 それだけでも異様なのだけれど、なぜかドラムやギターなどの楽器の隙間に、棺桶が置かれている。

 そんな、どこかで背徳感という意味不明な景観のなか、響きわたる野獣の吠え声の張本人である晃牙が喚(わめ)いていた。


「くそおぉぉ! 思い出しただけでも腹が立つ! 昨日の説教! 空手部の鬼龍紅郎! 生徒会...!」


 ギターを激しく演奏しながら、自身に溜まっている鬱憤をどうにか取り除こうとする晃牙。


「うわあ、荒れてるね〜大神先輩」

「くわばらくわばら。触らぬ大神先輩に祟(たた)りなし」


 まったく同じ声が聞こえた。

 声の主は、荒れ狂っている晃牙を遠巻きに見守り、暗幕の降ろされた窓際で仲良く並んでいる双子だった。

 男の子にしては長い、橙色の髪に黄緑色の瞳。


 初めに喋ったのは、兄、葵(あおい)ひなた。

 夢ノ咲学院アイドル科1年A組、部活動は軽音部、所属ユニットは2wink(トゥウィンク)。


 次に発したのは弟、葵 ゆうた。

 夢ノ咲学院アイドル科1年B組、部活動は軽音部、所属ユニットは2wink。


 間違い探しのように、ほんの少しずつ差異がある。

 例えば、ヘッドフォンの色...ひなたが桃色で、ゆうたが水色。

 あと、わずかな表情の差だろうか。

 学年ごとに色分けされた制服のネクタイは赤色。

 1年生であるため、当然のことながら晃牙を『先輩』と呼ぶ。


「どったのアレ? 大神先輩、何かあったのかな」

「詳しくは知らないけど『B1(ビーワン)』で派手に負けたらしいよ?」


 ひなた、ゆうたの順に言う。

 小声で会話していたのを耳聡(みみざと)く聞きつけた晃牙は ガンガンッ と壁を蹴りつけながら


「あぁん? 負けてね〜よ! 没収試合だあんなもんっ! 中途半端で終わったから鬱屈して仕方ね〜んだよ!」

 と噛みつくように吠えた。

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- この作品の続編ですが、最新作はオリジナルフラグが外れておりません。違反行為ですのでちゃんと外して下さいね (2018年8月9日 18時) (レス) id: 93bb7a0f46 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白銀桜夢 | 作成日時:2017年10月29日 17時

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