【あんスタ】プロデューサーは転入生！IV (ページ15)

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転入生の見廻り・4 ページ15

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　私には、『プロデューサー』として、プロデュースに関わる権利がある。

　それは勿論、アイドル個人だけでなく、『ユニット』に対しても同じ。
　学院の教師やユニットのリーダー等の責任者と相談しながら、ユニットの方針や方向性、そしてそれに準じた活動や宣伝等の内容を決めていくのが、プロデューサーの仕事。

　つまり、私が責任者達と相談し合って、正式に決定した計画や方針については、いかに生徒会長である天祥院と言えども、そう簡単にケチを付けたり出来なくなる……という事だ。

　天祥院はあくまで『アイドル』であって、『プロデューサー』ではない。
　そして。
　そもそも、プロデューサーでもない人間が、アイドルの活動に口出しをするなんて――本来なら、誰だろうと許されない。職域を超えた、明らかな越権行為だ。

　だから例えば、私が『紅月』に、衣更くんを追い出すよう進言したとして。
　天祥院がそれをとやかく言う権利なんてのは、本来なら皆無なのだ。
　それが『プロデューサー』の正当な権利を使った、正当な〝仕事〟である以上は、ね。

　あんずちゃんと『Trickstar』は、まだそこら辺の感覚が緩かったのと、場の空気に呑まれてしまって、天祥院の横槍を許してしまったようだけど……私はそんなに甘くないんでね。

「そう、だったんですか……」

　深刻そうな顔で呟いてから、衣更くんが苦笑する。

「俺は『紅月』になれない、って、いきなりどういう意味なんだろうと思ったら……。つまり、俺、戦力外通告ってことですかね？」
「そ。――だから、ほら」

　言って、私は取り出した袋を突きつける。
　え？と戸惑いながらも受け取り、中身を見た彼は、目を大きく見開いて、

「……これって……！」
「あんずちゃんから預かって来たわ。
　手元に置いとくよりも、私に預けといた方が、衣更くんに渡せるチャンスがあると思うから……ってね」

　性善説の塊みたいなあの子は、衣更くんを信じていた。
　否、衣更くんだけじゃない。遊木くんの事も、氷鷹くんの事も、勿論明星くんの事も――仲間である4人を、彼女は、愚直過ぎるくらい真っすぐに、信じ切っていた。
　今、衣更くんが持っている『Trickstar』のユニット衣装が、その何よりの証だ。

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