【鬼灯の冷徹】子狐こんこん肆

狐と鬼と鬼狩り。四 コラボ番外編 ページ22

Aが鬼の頭上を飛び、鬼も上を見上げて包丁を投げる。

包丁が当たる直前で善逸がAを抱えて避け、

スレスレの所を通過していった。


｢獣の呼吸弐ノ牙！切り裂き！！｣

気を取られた鬼の6本の腕全てが伊之助の刀によって切り落とされ、

怒りによる雄叫びが響き渡った。






｢水の呼吸……壱ノ型、水面斬り｣





一瞬水のような物が見えたと同時に鬼の首は舞い、

そして身体と頭はチリのように少しずつ消えていく。


｢包丁は投げる物じゃない。ご飯を作る物だ｣

そう鬼へ言葉をかける炭治郎の声は優しく、切なかった。

夜が明け、太陽の光が少しずつ差し込んでくる。

｢Aさん｣

と駆け寄った鬼灯にAはいつもの姿へとなり、｢鬼灯様！｣と抱きついた。


｢この馬鹿！！なんであんな危ない事をしたんですか！！！｣

突然始まった鬼灯の説教にAは｢だってだってだってぇ…｣と涙を流す。

その鬼灯の怒りに炭治郎は｢気持ちはわかる…｣と頷いた。


｢大切な貴女に何かあったら嫌なんですよ｣


鬼灯に腕の中に納められ、Aの頬は赤く染まりほれを隠すように顔を埋めた。


｢ケッ…俺達は何見せられてるんだよ｣

と善逸は嫉妬で悪態を零し、

その横で炭治郎は



確かな絆と強い愛情の匂いがする。



と微笑ましく思っていた。




｢本当にありがとうございました。

これで失礼します｣

鬼灯とAは炭治郎達へ挨拶し、

二人は帰っていく。


それを見送った後、善逸の

｢そういえばあの人達何だったんだ？｣

という言葉に炭治郎達も｢あ！｣と声を漏らした。









｢大丈夫です｣

｢ダメです！治るまでしっかり面倒見ますからね！｣


怪我の世話すると聞かないAと大丈夫だと断る鬼灯の押し問答は

結局は鬼灯が折れる形となり、その背中の傷はAによって新しいガーゼが張り替えられる。


｢出来ましたよ｣

とAが教えると鬼灯は礼を伝え、はだけさせた着物を着直そうとした時、

その大きな背中にAは抱きついた。



｢追いかけて来てくれてありがとうございます。

鬼灯様のこと。大好きです｣


抱きつくAの手に自分の手を添える。


｢本当に貴女といると退屈しませんね。

あと、結婚前に半裸の異性に抱き着くのはやめなさい｣

｢鬼灯様は婚約者ですよ｣



｢…今後ガーゼは自分で替えます｣

｢何でですか！！｣




✱おまけ✱

｢トレーニングを増やそう｣

鬼灯は密かにそう計画をした。

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