【鬼灯の冷徹】子狐こんこん肆

狐と鬼と鬼狩り。参 コラボ番外編 ページ21

やがて足音は鬼灯も聞こえる程近づいてきた。

巨体がキラリと光る包丁を6本の腕で投げていき、

それを避けながら走ってくる小さな身体。


｢鬼灯様ああああああ！！｣

鬼灯へと気づいたAは包丁を避ける為に宙へと飛んだ際に必死の形相で手を伸ばした。

Aの手を掴んで引き寄せ、

自分の胸へと抱いて反対の腕で金棒を振るい飛んできた包丁を全て跳ね除けた。


｢鬼灯様あああ…怖かったぁ…｣

安心して泣くAに鬼灯は抱いたまま頭を撫で、

｢怪我はないですか？｣と問いかける。

｢大丈夫です…｣

｢良かった。早く帰りましょう｣


巨体の鬼が振り下ろした包丁を鬼灯は瞬時に金棒で防いだ。

かなりの体格差がある攻撃に鬼灯はビクともしない。


｢うちのAさんを襲った罪、皮を剥いで全身の骨をへし折っても足りない！！

ゆっくり苦しく刻んでさしあげますよ！！｣


｢あいつめっちゃ怖い事言うんだけど！！

やっぱりあいつも同じ類の鬼じゃねぇの！？｣

驚きを隠せない善逸はキャーと騒ぎ、

いつもの様子に炭治郎達も気にせずに戦闘態勢へと入った。


｢向こうに隠れてなさい｣

と鬼灯に送り出され、Aは後ろの方へと下がる。

次々と飛んでくる包丁に皆は必死に避けたり弾いていて中々近づけない。

そんな中、弾き飛ばした包丁が勢いが残ったままAへと飛んで行った。

反応が遅れたAは当たると思って目を瞑ると同時に

突然現れた竹筒を口に咥えた女の子が包丁を蹴り飛ばしてそれは遠くの木へと刺さる。

そしてAの頭を優しく撫でた。

まるで大切な家族かのように。



｢Aさん！ぐっ…｣

Aへと気を取られた鬼灯の背中に包丁が刺さる。

すぐに抜いたが背中からはぽたぽたと血が滴り落ちていた。


｢いやあ！！鬼灯様ぁ！！｣

Aは叫び声を上げて鬼灯へと駆け寄り、背中の傷を止血しようと必死に抑える。


｢大丈夫です。落ち着きなさい｣

パニックになっているAの頬を撫で、落ち着かせようと声をかけた。

｢でも、でも……｣

｢大丈夫です｣と優しい口調で何度もあやされ、

落ち着きを取り戻したAに今度はメラメラと怒りの感情が沸き起こった。


｢よくも鬼灯様を…！｣


Aは狐へと戻り、鬼の周りをチョロチョロと駆け回る。


｢き、狐になったぁ！？｣



素早さが上がったAの動きを追いかけるように鬼は包丁を投げていき

やがてその動きに気を取られ初めていた。

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