たまんねえ ページ16
「あの……っ。アラン、そんなに見つめられると、恥ずかしいです」
面喰った様子のAは、苦笑いで答えた。
「はっ……! す、すまん。つい……」
水が沸騰しそうになるくらい、顔の温度が上昇するのを感じる。それでも、ポニーテールから目を逸らすことはできなかった。「このゆびとまれ」でもされているのかと疑うくらいだ。
Aのポニーテールは、俺のハートに一瞬で火をつけた。た、たまんねぇ……。
俺の理性よ、すまん。過労死しない程度に頑張ってくれ。
「お前……結んだ方が、その……。か、かわいいと思うぞ……」
「ふぉえっ!?」
眉をピクピク痙攣させる以外は、どこも動かさなかったA。
「……トライポカロンのときの、サイドポニーテール。あれも好きだけど、俺の1番は今の……」
『今の髪型がたまらなく好き』と伝えたかったのだが……
「ちょっとちょっと、あたしを置いて何話してるの?」
割り込んできたマノン。不機嫌そうだ。
でもお前より俺の方が不機嫌だ。
マノン、今だけはお前に敵意を抱くぞ……?
「……マノン、お前なぁ」
「まあまあ、いいじゃないですか。さ、片づけ始めますよ」
Aはまた苦笑いをして、片づけを始めた。
まずは、床に散乱した窓ガラスの破片や、使えそうにない壊れかけた椅子を集めて、処分することから始めた。
「ガラスは尖って危険なので、十分注意してくださいね」
Aはどこからか持ってきたホウキとチリトリで、慎重にガラスを集める。
俺よりAの方がテキパキこなしている。それゆえに俺の仕事が見つからないのだが。
「俺は何をすればいいんだ?」
「アランは……新聞紙の調達をお願いします」
新聞紙なんて、何に使うのか見当もつかないが、きっとAには考えがあるのだろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
言われたままに受付まで走って新聞紙を手に入れた。受付の人に変な目で見られたが、気にしないでおこう。
「で、これをどうすればいいんだ?」
「集めたガラスをそれで包んで、そこの袋に入れてください。あ、軍手つけてやってくださいね」
指示通り、軍手をつけてAが集めてくれたガラスを新聞紙で包む。
作業に集中しようとするが、どうしても隣のAが気になってしまう。
Aが動くたびにリズミカルに揺れるポニーテール。一瞬だけ見えるうなじ……最高。
「……アラン? あんまりよそ見していると、怪我しますよ?」
分かってるけど、目を逸らせないんだ……っ!
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エビピラフ - すごくすっごく面白いです!!それに、キュンキュンしますね〜。これからも更新頑張って下さい!!! (2016年8月8日 1時) (レス) id: 44e702c603 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - カレーオムライス…とてもおいしそ〜とても食べたくなってきました! (2016年8月6日 11時) (レス) id: 6bba43ef19 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 良かった。アランは、主人公に薬を飲ませなかった。安心しました。((o(^∇^)o)) (2016年8月4日 5時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 駄目。飲んじゃ駄目。その薬を飲んでしまたら、主人公は、壊れてしまう。アラン止めて。 (2016年8月2日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 黒乙女ありすさん» コメントありがとうございます! 主人公の考えとしては、『本当に美味しいカレーなら、飽きなんてこない』ってことなので、3日連続でも彼女にとってはむしろご褒美です(笑) (2016年8月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年7月20日 7時