検索窓
今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:83,894 hit

苦悶 ページ35

……採血終了。

駆血帯を外して、針を抜く。それと同時に刺入部分をアルコール綿で押さえる。

採った血液をスピッツと呼ばれる試験管に入れて、血液検査技師に渡す。

採血は指導を受けているので俺でもできるが、採った血液を調べるには資格がいるから、俺にはできない。


「検査の結果はすぐには出ない。先に脳波検査をするぞ」

「脳波検査ってどんなことするんですか……?」

Aが顔をこわばらせる。普段聞きなれない検査だから、怖がるのは当然だろう。
そう考えるとMRI検査をすんなり受け入れてくれたのって何気にすごいな。

「医師の指示に従っていればいい。大体はじっとしていれば終わる。痛みはないから安心しろ」

Aはゆっくりうなずいた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

少し移動して、脳波の検査用のベッドにAを連れて行く。

ベットの横には特殊な機械が待ち構えている。

「ずいぶん大掛かりな装置ですね……」

Aが苦笑いをする。

「熟睡状態の脳波をとるために鎮静薬を飲むみたいだが、それでもいいか?」

「いいですよ。だって今のアランは、『ダメ』って言っても説得しそうな雰囲気だもん」

Aの表情はぼんやりしていた。これは普通に自然睡眠でも熟睡しそうだ。

Aは医師から渡された鎮静剤を飲み、頭部に電極を付けられ、ベッドに体をゆだねた。

俺はベッドの横、機械の隣に置いてある椅子に腰かける。


医師の指示で、Aはまばたきをしたり、眩しい光を当てられたりした。

こちらから見る分には、別段変わったことはない。
しかし外部からは見えないだけで、脳に特別なことが起きているかもしれない。


「私、普通にしていいんですよね……。じゃあ寝ちゃっていいですか……?」

薬の効果なのか、もともと眠かったのか、目がトロンとしてくるA。

「ああ。もともと寝てもらうつもりだったからな」

そう言ってやると、あいつは軽く微笑んで目を閉じた。

検査中とは思えないほど、穏やかな寝顔。
俺以外にこいつのこの顔を見せたくない。

嫉妬からの独占欲が強まっていくのを感じる。


――『今のアランは、『ダメ』って言っても説得しそうな雰囲気だもん』

俺のこの黒い感情は、少なからず「雰囲気」として外に表れている。

――いつまで続けるつもりなんだ?

俺が俺自身に問いかける。

――いつまで駄々をこねるつもりだ?

その声は低く、怒りに満ちていて。

――いつまで嫉妬するつもりだ?

………分からない。

特別な脳波→←身体検査



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (49 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
50人がお気に入り
設定タグ:ポケモンXY , 最強メガシンカ , アラン   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

エビピラフ - すごくすっごく面白いです!!それに、キュンキュンしますね〜。これからも更新頑張って下さい!!! (2016年8月8日 1時) (レス) id: 44e702c603 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - カレーオムライス…とてもおいしそ〜とても食べたくなってきました! (2016年8月6日 11時) (レス) id: 6bba43ef19 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 良かった。アランは、主人公に薬を飲ませなかった。安心しました。((o(^∇^)o)) (2016年8月4日 5時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 駄目。飲んじゃ駄目。その薬を飲んでしまたら、主人公は、壊れてしまう。アラン止めて。 (2016年8月2日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 黒乙女ありすさん» コメントありがとうございます! 主人公の考えとしては、『本当に美味しいカレーなら、飽きなんてこない』ってことなので、3日連続でも彼女にとってはむしろご褒美です(笑) (2016年8月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年7月20日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。