身体検査 ページ34
MRI検査が終了するまでには30分以上かかる。全体を撮影するわけだから、長い。
でもその分いろんな方向から撮影ができるわけで、異常の発見がしやすい。
ただ、骨など水分の少ないところは映らない。
しかし、骨には異常はないと考えられる。どうしてもやるならCTスキャンだけど、こいつ朝飯がっつり食ってたからな……。よっぽどのことがない限り、CTはやらない方向性でいこうと思う。
「……今のところ、異常は?」
担当の技師に尋ねる。
「異常はないです。至って健康です」
身体的には別段変わったものはないのか。
となるとやはり脳……。脳波検査もしないとな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
結局、40分経ってやっとMRI検査が終了した。
「ふーっ……。なんか工事現場の近くに寝そべっているみたいで、変な感じでした」
「疲れたか?」
人によっては気分を悪くすることもあるみたいだが……。
「うーん。暇でしたけど、疲れてはないです」
どうやら違うみたいで、けろっと笑うA。よかった。
「そうか。次は血液検査だ。腕を出せ」
俺は手袋をして、注射器を取り出す。
「え、あの、アランがやるんですか?」
「ちゃんと指導は受けている。それに、俺はこの検査の最高責任者だ。俺に出来ることは何でもやるよ」
そう。俺は責任者なんだ……。
あいつの細い腕を固定した後、駆血帯を巻きつける。
駆血帯をつけることで、静脈の流れを一時的に止める。
「親指を中にして手を握れ」
「どうしてですか?」
「静脈が集まりやすいから。その方がやりやすいんだよ」
Aは素直に、俺の指示に従った。
Aの静脈が膨れあがる。太く、まっすぐで、弾力がある静脈。ここに針を刺す。
針を刺す前に、アルコール綿で刺入部分を消毒する。
「ふふっ。くすぐったい……」
「あんまり動かすな。失敗したら痛いぞ」
「大丈夫。私、注射は慣れてますから」
そういう問題じゃないんだが。
アルコールが乾いたことを確認したら、注射器を持つ手の反対の手の親指でAの皮膚を伸ばす。
血管が固定されたので、針を入れる。10〜20度の角度で刺入。
血管に刺さったらしいので、角度を小さくして少しだけ針を進める。
「……」
Aは、じっと自分の皮膚に針が刺さる様子を見ていた。
「お前、度胸あるな……」
「そうですかね?」
大体の人は刺されている様子から目を逸らすと思うが。
注射器の内筒をゆっくり引いて、血液を採取する。
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エビピラフ - すごくすっごく面白いです!!それに、キュンキュンしますね〜。これからも更新頑張って下さい!!! (2016年8月8日 1時) (レス) id: 44e702c603 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - カレーオムライス…とてもおいしそ〜とても食べたくなってきました! (2016年8月6日 11時) (レス) id: 6bba43ef19 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 良かった。アランは、主人公に薬を飲ませなかった。安心しました。((o(^∇^)o)) (2016年8月4日 5時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 駄目。飲んじゃ駄目。その薬を飲んでしまたら、主人公は、壊れてしまう。アラン止めて。 (2016年8月2日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 黒乙女ありすさん» コメントありがとうございます! 主人公の考えとしては、『本当に美味しいカレーなら、飽きなんてこない』ってことなので、3日連続でも彼女にとってはむしろご褒美です(笑) (2016年8月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年7月20日 7時