Day 48 ページ1
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「──……から来ました。琴宮Aです、よろしく」
すでに帰りたかった。高校生の目怖い。営業スマイルがバレたの？ ここには鈴屋先輩も佐々木くんも、頼れる人は誰もいない。膝が震えてる。朝の時点では「頑張るぞ」って意気込んだはずなのに。おかしい。
後ろの男の子たちが互いに目を合わせてなにか言ってる。やめてもうなんにも言わないで。
「仲良くしてあげてね皆。じゃあ琴宮さん、席は用意してるから、後ろのとこ」
「あ、どうも」
先生演技上手。もしかしたら教師の中にも喰種がいるという可能性も考えて今回の作戦と私のことはごくわずかの人物にしか伝わってないのだけれど、その中のこの
今の時代もうスクバ使ってる子いなくてリュックが主流なんだ。才子ちゃんのアドバイス通りリュックにしておいてよかった。周りの視線に耐えながら席まで辿り着いて長時間ケースに入れなくても大丈夫な小型クインケが入ったリュックを机の横に掛けると一気に疲れが湧いて出た。はやく座ろう。たしか最初の授業古典だっけ。無理、寝よ。「時間割変更あるよ〜2時間目の地歴が数Bになるからね〜」数学？ 無理、寝よ。
ひとまず周囲の観察がしやすいように窓際の一番後ろにしてくれたのはとても助かる。残業出削ってた分の睡眠時間も補えるから……ううんだめ、授業に参加するのもちゃんとした高校生らしく振る舞う仕事だから。
「ねね、Aちゃん」
いま、わたしの名前、
「よろしくAちゃん、めっちゃ可愛いーね」
何言ってるのこの子、えっ、私、こんなにすぐ誰かと話せな「ワロタ、緊張しまくりじゃん」ええ……。
「進路調査の紙出てない子は早くねー、じゃあ終わるよ」
榮さんがそう言うやいなや、私に話しかけてきた隣の子が張りのある「起立」を発声した、途端にクラスのみんなはそれに従って椅子から立ち上がる。
「礼」
「あざしたー」「うーい」とか、礼にすらなってない声が教室に飛び交ってから、私は自分だけその一連の流れに従っていないことに気づいた。
「よろしくね」
この子、学級委員長なんだ……。
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続く (更新停止中)
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作成日時：2020年11月2日 1時
