【朔間兄弟】行方不明の弟くん【あんさんぶるスターズ】

行方不明38 ページ39

＿No side＿

A『それよりも、茨が「今更彼等に縋りつかずとも、今の俺には茨達がいるから十分なのでは？」みたいなこと言ってたけど、どういうこと？』


茨『だいぶ話戻りましたね。まぁ、それが本来言おうとしたことですし、ちゃんと説明しますね。』


何事も無かったかのように話し始める茨。


茨『簡単に言うと……自分らを最優先に頼れという事ですよ。』


茨が端的に説明すると、Aは逆に端的過ぎて分からなかったようで、頭の上に疑問符を並べていた。


茨『つまり「独占欲」というやつです。貴方はすぐに何処かに行ってしまいますからね。そのうち自分達から離れて行ってしまうかもしれない……。今の「Eden」には、それは最も避けるべき行為ですのでね。』


茨『たっぷり愛してあげますから、抵抗せず大人しく溺れてください♪』


そう説明すると納得したような納得してないような微妙な顔になったが、不本意ながら理解した。


A『……喉乾いた』


茨『自分の血液で良ければ差し上げますが』


A『…ありがとう、と言いたいけど、俺は人を傷付けたくないからいいの。茨なんて以ての外。あんまり巫山戯てると茨のダイスキ(・・・・)な無能をCOSMIC PRODUCTIONに入れるよ？』


茨『アンタのところのプロデューサーだけで十分です』


その後も楽しく(？)たまに愚痴を入れ茶々を入れながら会話していると、どんどん時は過ぎていった。


茨『では、そろそろ自分は仮眠を取りますので＿＿』


A『＿＿茨』


Aが茨の話を遮るように声を掛けた。するとすぐに『何か？』という質問が茨から発せられた。


A『…茨のお陰で、結構気が楽になった。まぁ、独占欲とかもあるけど……歪んだ愛とかもね。でもそれが茨らしい愛し方なら＿＿』


A『＿＿俺はその方法で愛して欲しいな。無意味に自分の中の「愛」でなく、世間一般的に言われてる「愛」を渡されるよりマシだから。』


A『どんなに歪んでても、助けてくれた事実は変わらない。だから＿＿ありがとう。』


A『仮眠じゃなくちゃんと寝て。過労で倒れたらホントに無能寄越すから。それをご要望なら幾らでも渡すからね。……それじゃあ、おやすみ。いいユメ見てね』


電話越しの茨は少し動揺していたようだが、『アイ・アイ♪』と上機嫌に言って通話は終わった。

窓から射す月の光。それを見て自分の中から深く吸血欲が湧いてくる……はずだったのだが、その日は何も無かった。

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