傷のついた少女【鬼灯の冷徹】 (ページ37)

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37今はまだ……… ページ37

鬼灯「Aさんの転生とかはどうするんですか」

白澤「転生なんてさせない」

鬼灯「ですが、亡者である限りは転生がつきものですよ。桃太郎さんのような有名人でも何でもないAさんのような一般人は」

白澤「………」

鬼灯「もし今のAさんが心を開いてもいつか別れが来ますよ」

白澤「……言わないで」

鬼灯「…」

白澤「そんな事言わないで……分かってるから。今はまだ……やっとそばに置くことができたんだし」

鬼灯「地獄の一員として言わせていただいているだけです。転生だって私の仕事の一部ですから」

白澤「…うん」

鬼灯「…………」

白澤「覚悟はしておくから……今はまだいいでしょ？」

鬼灯「…………」

白澤「おい？」

鬼灯「……」

何か考え込む仕草をしたまま返事が無い。

白澤「何、どうしたんだよ？」

鬼灯「……！」

鬼灯「それでは私はこれで失礼します」

白澤「え？帰るの？」

鬼灯「はい」

何でこのタイミングで？

鬼灯「では。」

一子「じゃあ私も帰る」

二子「私も」

足早に、帰って行った。

白澤「転生、ねえ………」

ガチャ

A「……」

白澤「あ、お風呂上がったー？」

A「……」コクッ

白澤「髪濡れてるじゃない、拭いてあげるから、おいで」

僕が手招きをすると、Aちゃんは小走りで僕の所に来る。

日々を重ねたら、普通の女の子みたいに笑えるようになる……と思う。

それまでここにいられるのかな……

A「……」

白澤「……」ワシャワシャ

A「……」

白澤「……」ワシャワシャ

A「……」

白澤「……」ピタッ

A「……？」

白澤「うっ………」ポロッ

A「……！」

白澤「う、ぁ……ぐっ…」ポロポロ

泣くつもりなんて無いのに、Aちゃんの転生の事を考えたら涙が自然に出てきて悲しくなる。

次転生したら、僕から遠い存在になってしまう。

そんな気がしてならない。

また見失ってしまう

こんな風に気安く触れる事もできないかもしれない。

そう思うと……

パサッ

白澤「え？……」

A「………」

頬に冷たい………髪の毛が、当たって……

なに、これ

何で

Aちゃんが僕を抱きしめてくれてるの？