＊再会 ページ4
そんなモヤモヤを抱えたまま入学式を終え、各教室に戻ることになった。
成績優秀者のクラスってくらいだから、真面目な奴ばっかりかと思ってたけど、入ってみると案外普通の教室と変わらねぇ。
何人かは自分の席で参考書読んだりとかしてるけど、大半の生徒は初日にもかかわらず、グループに分かれて楽しそうに話してる。
早ぇなぁ、やっぱ……
そんなことを思ってると、窓際の席に見知った、というか、今朝見たばかりの人物がいた。
翔「あ！！お前……！！」
帽子を拾ってくれた、Aによく似た女の子。
驚いたあまりついでかい声出しちまった……
クラス中の視線が痛ぇ……
俺は誤魔化すように咳払いをして、その女の子のところへと歩いて行った。
翔「なあ、今朝、帽子拾ってくれたよな？」
読んでいた分厚い本から視線を上げ、俺と目を合わせてくれる。
……やっぱ、似てる……というか、本人にしか見えねぇ。
翔「お前、Aだろ？俺のこと覚えてっか？昔、病院でよく話してた……」
半ば半信半疑のまま、恐る恐る声をかけてみる。
すると、なんとなく戸惑いがちに、肩のあたりで手を動かしてみせる。
謎の動作に、俺は首をかしげるしかなかった。
「久しぶりって言ってるんだよ」
不意に、どっか色っぽい低い声がした。
声のしたほうを見ると、オレンジの髪の背の高い男が歩いて来ていた。
誰だ？こいつ……
レン「初めまして、レディ。俺は神宮寺 レン。手話、できるんだね？」
翔「手話？今のが？」
レン「あぁ。おちびちゃんには、まだわからなかったかな？」
翔「誰がおちびだ！！俺にはちゃんと来栖 翔って名前があるんだよ！！」
突然割って入ってきたかと思えば、人をチビ呼ばわりしやがって……！！
そりゃ、ちょっとくだけ……“ちょっとだけ”人より小せぇかもしれねぇけどよお！！
……って、そうじゃねぇや！！
翔「久しぶりってことは、やっぱお前、Aなんだな！？」
本題に戻ってそう言うと、無表情のままでコクリと頷いてくれた。
その動作に、急激に嬉しさと安心感が込み上げてくる。
本当に、Aなんだな……
あの頃、毎日のように一緒にいたのに、急にいなくなっちまったから、てっきり……
でも……俺の勘違いで、ホントによかった……
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作者名：十九 雷音 | 作成日時：2017年4月23日 1時
