＊トキヤの忠告 ページ26
そうして次来たのは……と言うより、戻ってきたのは、中庭。
なんか同じところ行ったり来たりしてるような気がすんだけど……
翔「で、なんだよ、わざわざ二人で……」
トキヤ「いえ、先程から、結城さんのほうをチラチラ見ていたので、彼女の前では話しにくいことなのかと……」
……あぁ、そういうことか。
話しやすいように気を遣ってくれたんだな。
てか俺、そんなにAのこと見てたのか……？
トキヤ「それで、改めて聞きますが、私の何を気にしているのです？」
翔「あ、あぁ……別に、大したことじゃねぇんだ。ただ、知らないうちにAとお前が仲良くなってて、びっくりしてるっていうか……まだ入学してほとんど経ってねぇし、どっちかっつうと、あんまり人と仲良く話す奴じゃねぇだろうなって思ってたし」
トキヤ「要するに、古くからの友人が、入学間もなく自分以外の誰かと仲良くしていて戸惑っている、と？」
……なんか釈然としねぇけど、言ってることはほぼあってる。
なんとも言えない気持ちのままいると、トキヤは小さく息を吐いて、話し始めた。
トキヤ「確かに、彼女とは話もよく合います。友人というにはまだ関りが浅いですが……ですが、彼女との関係は、それ以上でも以下でもありません。別にあなたが戸惑うことではないのでは？」
翔「そりゃわかっちゃいるけどよ……」
トキヤ「……何が気に入らないのか知りませんが、一つ言っておきます。ここ、早乙女学園は、プロのになるための養成所であって、普通の学校とは違う。学生気分で浮かれる前に、もっと努力してはどうですか？」
トキヤのその言葉が、妙に腹立たしかった。
けど実際、こいつの言うことは正しい。
ここは、普通の学校とは違うんだって……
トキヤ「それから……これは余計なお世話かもしれませんが、あなたと結城さんは、相当仲が良いようですので、忠告しておきます。早乙女学園は“恋愛禁止”。破れば即退学ですので」
“恋愛禁止”
そんなルールあるとかないとか、初日に龍也先生から言われたっけ。
翔「わかってる。別にあいつとはそういうんじゃねぇから……」
トキヤ「その割には、随分嫉妬深いんですね？」
翔「し、嫉妬なんかしてねぇよ！！」
なんか、見透かされたみたいでつい大声出しちまった。
そっか……ヤキモチ、妬いてたんだな、俺。
なんかすげぇ恥ずかしい……
けど……恋愛禁止、か……
そう思った瞬間、何故か妙に寂しく感じた……
.
＊Humpty Dumpty ―夢主side―→←＊図書室にて
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作者名：十九 雷音 | 作成日時：2017年4月23日 1時
