＊ヤキモチ ページ23
そうして、いつものように戦場と化した購買で昼を買い、中庭に来る。
３日目ともなるとだいぶ慣れてくるもので、割と取りたいものが取れるようになる。
けど、Aはそうじゃないみたいで、真っ青な顔で牛乳パック一つだけ手に持ってる。
やっぱ、こういうところ男女の差って出るんだな……
翔「ほら、これ」
いつものようにパンを一つ差し出すも、Aは何故か受け取ろうとせず、プイッと顔を背けた。
……なんか、機嫌悪い？
翔「いつも言ってるけど、食っとかねぇと持たないぞ？」
そう言っても、ツーンと顔を背けたままのA。
マジで機嫌悪いな。
俺、なんかしたか？
翔「おい、A……うおっ！？」
かなり不機嫌なAに心配になって声をかけようとすると、突然抱き付いてきた。
な、なんだ？
ほんとに今日様子おかしいぞ？
一人でパニックを起こしていると、ふと離れ、ノートに何か書くA。
『さっきの翔、なんか嫌だった』
翔「さっき？」
『授業中。楽しそうだった』
翔「あぁ、ケン王の話で、つい盛り上がっちまってさ」
『ケン王？』
翔「ケンカの王子様。……やっぱ、知らねぇ？」
『名前だけ。見たことない』
あぁ、やっぱ女子はあんまり知らねぇんだ。
……っていうか、会話はしてくれるけど、めちゃくちゃ機嫌悪そう。
……まさかなとは思うけど。
翔「俺がケン王のことで盛り上がってんの見て、妬いてんのか？」
自分で言って、何言ってんだと思った。
けど図星だったのか、Aは真っ赤になって今度は完全に背中を向けた。
なんだよこいつ……マジで可愛すぎだろ……！！
翔「今度、俺の部屋で一緒に見ようぜ？な？」
そう言って頭をポンッと撫でてやると、驚いたみてぇに目を見開いて、こっちを見るA。
そして、またノートに何か書く。
『男子寮、入れない』
翔「あっ！！そうか！！うーん……じゃあ、DVD貸してやるよ！！そしたら、一緒に語ろうぜ？」
そう言ってやるとようやく機嫌が直ったのか、嬉しそうな顔して抱き付いてきた。
ほんと、可愛い奴。
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作者名：十九 雷音 | 作成日時：2017年4月23日 1時
