【うたプリ】繋ぐ音色はいつだって【来栖翔】 (ページ11)

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＊声のないただいまページ11

－－－グイッ

A「－－－ッ！？」

Aのその言葉を見た瞬間、思わずAを抱き締めていた。
突然のことに、当然Aも驚いている。
けど、俺は離すことはしないで、そのままこう告げた。

翔「ごめん……俺、全然知らなくて……病気のことも、察してやれなくて……」

俺の言葉に、Aはゆっくりと首を横に振る。
そして、精一杯俺の耳元で音を紡ぐ。

『翔の、せいじゃない……私が、何も、言わなかった……』

ほとんど声にならない、吐息だけも同然の声だった。
でも、ちゃんと聞こえたぜ……

俺は強くAを抱き締めて、“おかえり”と言う代わりに頭を撫でた。
Aも言葉にできない代わりに、俺の背中をポンポンッと叩く。
その仕草がまるで、“ただいま”と言っているように聞こえた……

そして、しばらくしてから、そっと俺の胸を押す。
……その時ようやく、俺がとてつもなく恥ずかしいことをしていたことに気づく。

翔「わ、悪い！！なんかつい、抱きしめたりなんかして！！びっくりさせたよな！！」

顔が、というか全身が熱くなるのがわかった。
けど、そんな俺とは違って、Aは何がと言わんばかりに首をかしげている。
そして、抱きしめた勢いで落としたノートを拾い、

『赤い』

と書く。
ってそりゃ赤くもなるわ！！
だって俺、今おもいっきり……！！

翔「ま、まあ、お前が気にしてないなら、別にいいけどよ……」

半分強がるようにそう言ったものの、まだ心臓がバクバクいっていた。

ってかA、よく平然としてられるな。
天然なのか、男慣れでもしてんのか……
……いやそれはないよな、流石に。

翔「うおっ！！」

一人で悶々と考えていると、突然頭が重くなる。
何事かと思っていると、Aの鞄が頭に乗っていることに気づく。
初日で山ほど教材もらったから無駄に重い……！！

『帰ろ？』

翔「お、おぉ……わかったから、定期的に頭の上に物乗んのやめろ。帽子潰れるし、縮むだろ」

『翔、今でも小さい。何センチなの？』

翔「うるせぇ！！気にしてんだから聞くな！！」

そんな風に、その先は会話が耐えることはなかった。
下校中の短い時間だったけど、昔に戻ったみたいで、すげぇ楽しかった。

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