第11話 ページ14
.
噂に聞いていた因縁の相手。
“ゴミ捨て場の決戦”
みんなが沸き立つようなその試合を、私も見たい。
もちろん、エースがそこで輝くところも。
だから私は、今日も昼休みに3-3の教室を訪ねた。
『…旭さん』
「…Aちゃん」
旭さんが部活に来なくなってから一か月ほど、私は毎日旭さんのもとを訪れていた。
最近は自信がなくなって、行こうか迷ったりしていたけど。
西谷が戻ってきた、音駒と練習試合をやる。
その勝利の瞬間に、旭さんがいないなんて嫌だ。
それに、旭さんに諦めて欲しくなくて毎日通っていたのに、それを私が諦めてしまったら説得も何もない。頑張らなくちゃ。
『西谷が、戻ってきたんです』
「うん、スガから聞いたよ」
『あいつ、毎日違うところに痣作ってきてるんです。
聞いたら、ブロックフォローの特訓してるんだ、って言ってました。
ブロックフォローが出来れば、スパイカーが安心して打てるから、って』
「…!」
西谷がこんなに頑張ってるんだから、旭さんも頑張れ。なんて言いたいわけではない。
そんなことを言ったら逆効果、より旭さんを追い詰めてしまう。
元から自分に自信がない私と、あったはずの自信を打ち砕かれてしまった旭さんとでは全然違うけれど、似通っている部分もある。だから、彼の気持ちに寄り添えるはずなのだ。
だけど、旭さんが苦しい思いをするかもしれなくても、
西谷の頑張りを、あなたに知っていてもらいたかったから。
「……毎日来てくれて悪いけど。ごめんな、Aちゃん」
『あさ、ひさ、』
「アッ、アサヒさん!!!」
気まずい空気の中、またもや私の言葉を遮ったのは、日向君だった。
隣には影山もいる。
どうやら二人も、旭さんに話をしに来たらしい。
「あ、Aさんもいる!ちわっす!」
「ちわす」
『うん、こんにちは』
旭さんと一緒に廊下まで出て来て、二人の…主に日向君の話を聞く。
やっぱり、1年生にも私達の重い空気は伝わってしまっているらしい。後輩にまで心配かけるなんて、先輩失格だな(主に私が)。
それから日向君は、何故か影山との連携の凄さを力説し始めた。脈絡…?
「ネットの“向こう側”が、ばあっと見えるんです」
日向君の話を聞いているときの旭さんの顔を見たら、なんだか泣きたくなった。
スガさんは旭さんがバレーを嫌いになったかもしれない、と言っていたけれど
なんだ、ちゃんと今も大好きじゃないですか。
168人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふぃる(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます!なんて嬉しいお言葉…!!のんびり更新ですが、これからもどうかよろしくお願いいたします(^^) (2020年3月12日 13時) (レス) id: 57a4697fd9 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - めっちゃ好きです。このお話読んでふぃるさんのファンになりました笑これからも応援してます!! (2020年3月2日 8時) (レス) id: 012863f737 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ふぃる | 作成日時:2020年2月7日 11時