何も知らずに生きてきた【BLEACH】 (ページ48)

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番外編～其ノ参～ページ48

「ねぇ、なにやってんの。奏太。」

名前を呼ばれた彼は振り向く。
同時に驚いた。

「Aさん！！」

彼の周りに居た友人たちも驚いていた。
そして虚の前に固まって立ち、悪魔で見つからないようにという立ち振る舞いをしていた。

「その後ろの虚からさっさと離れな。」

彼女は斬魄刀に手をかけながら虚に近づいていく。

「嫌だ！！！」

奏太の張り上げる声に彼女は歩みを止めた。

「お前らなにやってんのか分かってんの？」

彼女の声に怒気が含まれているのは彼らは既に感じていた。沈黙を続ける彼らを他所に彼女は言葉を続ける。

「流魂街に虚が出るなんて滅多にないことだけど、
虚がどれだけ危険かは日頃から死神達を見ていれば分かるでしょ。」

「分かるよ！でもこいつはいい虚なんだ！！」

「虚になった時点で良い奴じゃないんだよ！！！」

奏太の言葉を彼女の怒声が呑み込んでいく。
彼の友人たちはすっかり怯えてしまっていた。
奏太も僅かに震え出す。

「その虚と出会ってどれくらい経ったの。」

「………2週間くらい。」

「なんだって……！！」

奏太の答えを聞いた瞬間、彼女は斬魄刀を鞘から抜く。

「早く、その虚から離れな！！」

「え……」

「早くして！！」

それと同時に虚が姿を変え巨大になり、瘴気を増す。

「しまった……！」

「うわぁああ！！」

近くにいた奏太が虚に捕まってしまった。
他の子供たちは既に彼女の後ろに下がっている。

「バレちまったらしかたねぇなぁ、あぁ？？」

挑発的な言葉で虚は話し出す。

「姿だけ変えずに2週間も贅沢に魂魄を貪ってやったよ。おかげで力が十分に溜まったぜ。
この餓鬼どももそろそろ喰っちまおうと思ってたが、死神が来るとはなぁ。」

「その子を離せ……。」

彼女は斬魄刀を構えながら虚に言う。
だがそれを素直に聞くはずもなかった。

「……人質が居たんじゃ巻き込む可能性がある。
斬魄刀は使えないな。」

ボソッと呟かれた言葉を虚は聞き逃さなかった。

「Aさん……！！」

涙を浮かべた奏太の顔を彼女は知らない。