何も知らずに生きてきた【BLEACH】 (ページ38)

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三十二話ページ38

「それは……」

言葉を詰まらせる柘榴の正面にAは立つ。
そして柘榴の胸に手を置いた。

「柘榴…お前はもっと自信をもて。もっていいんだよ。他の隊長に会うからなんだ？自分の隊が一番だって言えるくらいのプライドは持っとけ。お前はこの隊の副官だ。

いいか、私等隊長は尸魂界だけじゃない。隊も隊員一人一人も護る責任がある。でも副隊長も同じだ。隊長が不在の時は副官がその役を全うする。

副官もいなけりゃ三席が。三席もいないならその下が。そうやって隊は出来てる。現に今、三つの隊はそうやって動いてるだろ。

もっとお前は自信をもて。なぜ私が副隊長の席を隊の結成から6年空けていたか考えろ。」

Aは言葉を止め柘榴の顔を見る。

「だからもっと胸を張れ。」

そう言ってAはその場を後にする。

「三時間後、遅れんなよ。」

「はい。」

柘榴の声は力強くも震えていた。

ー三時間後ー

隊首会室前。

「来たか…柘榴。」

「はい。」

「いい顔してんじゃん。」

にししっと笑うAに柘榴は疑問をぶつける。

「あの…なんで隊長羽織りを来てないんですか？」

今のAは十四番隊の隊長羽織りを手に持っていた。

「あーこれ？着たい？」

「いや、そんなに軽く言われても困ります。」

「着てみればいーじゃん。」

ほれっと隊長羽織を投げてみせる。

「えっ、ちょっと隊長。そんな雑な扱いっていいんですか！？」

「さっさと着なってば！」

半ば無理やり柘榴に羽織りを着せたAは満足気だった。

Aは柘榴の顔に手を伸ばし、ぺちっと両頬を優しく叩く。

「よし。胸張って堂々としてろよ。
今からお前は十四番隊隊長だ！」

その声に驚く暇もなく部屋の中から「入れ」と号令があり、同時に扉が開く。

「中に入ったら私の真似だけしてればいい。」

柘榴はまだ何も知らない。