何も知らずに生きてきた【BLEACH】 (ページ19)

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十七話主人公side ページ19

「Aはそこで見ていればいい。動かぬ体を無理に動かす必要はない。」

砕蜂姉の言葉が私の何かを深く抉るような苦しさに襲われた。

目の前が霞んで俯いてしまう。

山じぃが十四郎を牽制してるのも
春水が私を気にしてるのも
知ってたけど涙を堪えるのに必死だった。

体が震え始めた気がする。

大切な人から突き放される感覚は前にも感じた。
大切な人を失う感覚は前にも感じた。

「もう……嫌なのに」

そう言っても誰も助けてくれることなんてない。

何も変わってないじゃん。
昔と同じだ。誰かに頼ろうとするな。

自分に言い聞かせる。
視線をあげれば、山じぃが春水達を追っていた。
砕蜂姉が清音を踏みつけようとするのが見えた。

考えるより先に体が動く。
私は瞬歩で清音を助けた。

「A！何をしている！」

砕蜂姉は驚いてた。
そりゃそっか。

「ごめん。砕蜂姉…でも十四郎達がこんなことしたのは意味があると思うんだ。」

「尸魂界に仇なすというのか…。」

「私、もう見てるだけなんて無理だよ。自分の信じたことをやるんだ。例えそれが尸魂界の許す事のないことでも。」

「A……。お前も変わってしまったのか。」

「変わってなんかない。今までは弱くてできなかったんだ。でも今は違う。」

砕蜂姉は怒ってるみたいだった。
悲しんでるみたいだった。
でも、私だって信念を曲げはしない。

砕蜂姉と言い争っていればふと近づいてくるものを感じる。
砕蜂姉も同じようで二人してその方向を向いた。

でも、遅かった。
気づけば隣にいた砕蜂姉がいない。

「速い……。」

声に出すと同時に重い体を引きずって走った。

砕蜂姉を連れてった奴の正体を私は知らない。