何も知らずに生きてきた【BLEACH】 (ページ17)

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十五話ページ17

双極に向かう途中に柘榴はAにふと疑問を投げかけた。

「隊長が探してた人ってどんな人なんですか？」

一瞬Aは険しい表情をした。

「んー。なんて言えばいいのかなぁ。」

Aはしばらく考えると思いついたように言った。

「家族みたいな人だよ。」

「みたいな？」

「そう。血は繋がってないけど、私が小さい頃から可愛がってくれたんだ。砕蜂姉もその一人だよ。」

「だから、砕蜂隊長に『姉』を付けてたんですね。ずっと不思議でした。」

「あれ？言ってなかったっけ？」

「聞いてないですよ。そんなの。」

そんな他愛もない話をしていればあっという間に双極に着いていた。
柘榴はAを降ろした。

「あれ、集まり悪いね。もっと居ると思ったの
に。」

「遅いぞ十四番隊。」

「ごめんて山じぃ。」

「申し訳ございません。総隊長」

柘榴とAは八番隊の隣に並ぶ。

「遅刻なんて珍しいねぇ。Aちゃん。」

京楽が呑気に言う。

「こっちは病み上がりなんだよ。」

そう言っていると総隊長の声が響く。

「それではこれより術式を開始する。」

その時、朽木白夜が到着した。

「朽木ルキア、何か言い残しておくことはないかの。」

「はい。一つだけ。」

朽木ルキアの願いは旅禍達を無傷で帰してほしいと言うものだった。

総隊長は頷いていた。

「ひどい。どうせ生かして帰す気なんてないくせに。」

「酷くなんてありませんよ。勇音。慈悲です。」

「卯ノ花隊長、今までどちらに？」

卯ノ花も到着した。

「いずれ避けられぬ終焉ならばせめて僅かでも迷いなくせめて僅かでも安らかに。」

「双極を解放せよ」

その声と同時に双極が解放された。

そして朽木ルキアの体が上昇していく。

双極が炎を纏った時、柘榴は俯く。

「柘榴、目を背けるな。」

Aは力強く言った。

「仲間を失うことは辛いことだ。でも、仲間の最期がどんな形であれ私達はそれを見届けなきゃいけない。」

柘榴はルキアに目を向ける。

他の隊長や副隊長が解放された双極に目を奪われる中、恐ろしく小さいAの声に誰も気づかない。

「夜一さん。」

誰も知らないのだ。