何も知らずに生きてきた【BLEACH】 (ページ14)

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十二話柘榴side ページ14

尸魂界はどこもかしこも混乱している。
十四番隊も隊長のいない今、俺が隊を引っ張らないと。

雛森や吉良は拘置されていて、阿散井や斑目もやられた。

旅禍による混乱。

藍染隊長の死もまた混乱の原因だ。

早いとこ、何とかしなくちゃ。
さっき、隊員達から報告を受けたけど
あの更木隊長が旅禍とやって相打ちとはな…。
他の旅禍も懺罪宮に忍び込んでたみたいだし。

「はぁ…。」

まったく、頭が痛くなりそうだ。

「佳音副隊長。」

俺の名前を呼んだのは一人の隊員だった。

「どうかしたのか？」

「その……副隊長は隊長の傍にいてあげてください。」

「え………？」

「あ、いや、ごめんなさい。偉そうなことを」

「別に大丈夫。でもなんでそんなことを？」

「それは、隊長がお倒れになられてから副隊長は仕事が手につかないように見えます。隊長のことが心配なんですよね。それは僕ら隊員も同じです。だから、副隊長が隊長の傍にいるなら僕らも安心して仕事が出来ます。任せて下さい、隊長と副隊長、直々に稽古をつけて頂いてるんです。僕らも戦えますから。」

まさか、部下に背中を押されるとは思わなかった。
それに、そんなに気を落としていたのか俺は。

「そっか。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ。」

俺は隊を3席に任せて四番隊隊舎に行く。

隊舎に着けばすぐさま卯ノ花隊長を見つける。

「あの、卯ノ花隊長。うちの隊長はどうですか？」

なんで声が震えるんだ。

「容態は回復しました。今は奥の部屋で寝ていますよ。少し強い薬を投与したので目を覚ますにはもう少し時間がいるでしょう。」

「そうですか。ありがとうございます。」

深々と頭を下げる。
くそ、なんで目の前が霞むんだよ。

「しばらく、隊長のそばにいてもいいですか？」

頭を下げたままそう聞いた。

「えぇ。是非そうしてあげてください。」

「ありがとうございます。」

隊長のいる部屋に通される。
隊長の眠るベットの隣に腰を下ろした。

「隊長……。良かった…本当に。」

声が霞んでシーツに少しシミができた。

隊長の頬に手を当てれば体温があった。
さっきは氷みたいに冷たかったのに。
本当に卯ノ花隊長は凄いな。

その時だった。

「喜助……」

隊長がぽつりと言った。

喜助って技術開発局初代局長の？
隊長とはどんな関係なんだろうか。

「会いたいよ。」

その隊長の言葉は俺の胸を締め付ける。
なんだこれ。

この感情を俺は知らない。