謙也とはじめまして(1/2) ページ3
※切恋注意。某洋画ネタ。ハッピーエンドではない
とある日曜日。欲しかった本を買い終えた帰りだった
「なあ、これ落とさんかった?」
「……私のじゃないです」
声を掛けてきた男の人は次に、困ったように笑った。
「違ったか……ほな、飯でもいこか」
「行きません」
……変なナンパの仕方だと思った。
「あ、ちょ、待ち!オムライス!オムライス奢ったる!」
「……」
ピタリ。足を止めて振り返る。そこにはやはり困ったように笑う彼がいて
「……ついでに、ココアも奢るで」
それがなんだか、懐かしいと思った。
オシャレなカフェで向かい合うように座る私達。私に声を掛けてきたナンパ師さんは忍足謙也君と言うらしい。ナンパ師というには少し奥手な気もしたが、私の好物を1発で当ててくれたことに悪い気はしなかった
「謙也君は何歳なの?」
「今年で21やな」
「へえ、3つ歳上なんだね」
「……せやな」
いろいろな事を話した。彼は私のことを知りたがった。私も彼のことを知りたくなっていた。
「パパがケータイ持たせてくれないから、家の番号教えておくね」
「おん。貰っとくわ」
「日曜日なら電話出れるよ、今日とか」
メモを取り出してペンを走らせてそれをちぎる。そこでメモの残り枚数がやけに少なくなっていることに気がついて、少しだけ首を傾げた。愛用しているだけに、少しだけショックだ
謙也くんの方を見ると、少しだけ悲しそうな顔をしていた。しかし私と目が合えばまたニコリとはにかんだので、そのことはスグに忘れてしまった
正直、恋をしていたと思う
「家まで送ろか?」
「ううん、大丈夫」
歳上で、カッコよくて、優しくて。
初対面で何を言っているんだという感じだが、恋というのは本当に突然なのだと思う
「気をつけて帰ってな」
「……謙也君」
名前を呼んで、手を握る。謙也くんは少し驚いていた
「どないした?」
握り返してくれる彼の温もりに安堵して
「また、会ってくれる?」
少しばかりの期待を込めて。
謙也くんは嬉しそうに目を細めた後に、また少し切ない顔をした。
こういう、彼の影のある雰囲気にも惹かれたんだと思う。
「当たり前や、俺のこと……忘れたらアカンで?」
「何それ、忘れないよ」
バイバイと手を振って、途中何度も振り返った。
謙也とはじめまして
恋をしちゃった。なんてはしゃぎながら、幸せな気持ちで眠りについた
535人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
光華(プロフ) - 逆からのやつ感動です!!柳君だからこそできることかな?神ですね! (2021年3月11日 21時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
Haruka Ö(プロフ) - 逆から読むのは凄すぎました!!! (2020年1月27日 23時) (レス) id: 0d992502c1 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 逆から読むのがわからないです…。理解力なくてすみません!!気になるので誰か教えてください! (2020年1月7日 13時) (レス) id: 2a82e997d1 (このIDを非表示/違反報告)
佐和(プロフ) - はじめまして。ろちこさんの作品にはまってます。がっくんのプロポーズ、笑いました。からあげwww逆ハ話も好きですが、誰か個人落ちの話をもっと読んでみたいです。更新頑張ってくださいm(._.)m (2019年8月18日 0時) (レス) id: 892b8d0726 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - ゼクシィじゃねーのが面白すぎたので日常会話で積極的に使っていこうと思います(^ω^) (2019年7月10日 19時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ろちこ | 作成日時:2018年4月17日 2時