【番外編】わたしのままは、 ページ39
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兄者の奥さん__万理華さんが亡くなってから数週間が経過した。色々あって、俺と薫さんが交代でAを見ることになっている。兄者は馬鹿みたいに仕事を詰めてる。寂しさを紛らわすように
今日はKnightsの5人とAとミッちゃんの7人でご飯を食べに来ている。畳を基調とした和の個室だ。実はAとミッちゃんは小さい頃何度も会ったことがある。忘れてたみたいだけど。
ミッちゃんはセッちゃんとご飯を食べてて、Aは俺と一緒に食べていた。
「これ、きらいだからいらない!」
「好き嫌いしないのぉ。ほら、あーん」
「やだ!いらない!ぱぱきらい!」
「こら、すぐ嫌いとか言わないの!」
ミッちゃんは結構自由奔放な感じで、それとは対照的にAは静かな感じ。俺しか知ってる人が居なくて緊張してるのかもしれない。
「おれ、ままのとこいくもん!ぱぱきらい!!やだ!」
「今、ママはお出かけ中だからパパといようねぇ」
「やだ!はなせ!」
ドタバタとミッちゃんが暴れて逃げ出すのを、慣れたようにセッちゃんが抱き上げる。ポカポカ、セッちゃんの頭を叩くけど、嫌な顔1つしないセッちゃんはちゃんと父親をやっているみたいだった。
「りつくん、Aのままとぱぱはどこにいるの?」
「え?」
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「おい、おまえ!!!」
突然叫んだのは、俺の隣で静かにご飯を食べていたAだった。俺ら全員に緊張が走る。
「ぱぱいるくせに、もんくいうな!Aなんてままもぱぱもいないのに!!」
そう言って近くにあったおもちゃをミッちゃんの方に向かって投げた。セッちゃんに抱き上げられていて当たらなかったから良かったものの、これが当たっていたら大惨事である。
俺はすぐにAを抱き上げて、「よしよし、A落ち着こうねぇ」と部屋を後にする。後ろでミッちゃんが声を上げて泣いてるのが聞こえる。Aはお母さんが居なくなったことでだいぶ情緒不安定になっているのだ。当たり前だ、ずっと一緒にいたお母さんが突然いなくなってしまったのだから。
「りつくん、ぱぱじゃないからやだ!!おろして!やだ!」
これを機会にAとミッちゃんはぱったり会わなくなった。
やっぱり今のAに必要なのは、俺でも薫さんでもなくて、父親である兄者だ。別に兄者もAを放っている訳では無いけど…
でも、このままではまずいことは、明らかだった。
何とか、しないと……。
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玲咲(プロフ) - おかゆさん» コメントありがとうございます!えええ、そんな勿体ないお言葉ありがとうございます…!めちゃくちゃ嬉しいです!!何度も読んでくださってありがとうございました(*´˘`*) (2022年11月23日 23時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品とっても好きすぎて1日に何度も読み返してしまいました。今までこういう系の話を読んだりしていたのですが、この作品めちゃめちゃ泣くぐらい好きです。途中何度もうぅぅ……となりながら読んでいました。遅いでが完結おめでとうございます! (2022年11月23日 21時) (レス) id: 4ef80cb4cb (このIDを非表示/違反報告)
玲咲(プロフ) - ねこかんさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎて、10回コメント読み返しましたありがとうございます泣瑞希くんも好きになってくださってめちゃくちゃ嬉しいです!この作品書いて良かったと思えました。長い間お付き合い下さり本当にありがとうございました! (2022年11月6日 11時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 時々感情移入しすぎて泣きました。神作品ありがとうございますこれは脳内に焼き付かれる作品だ最後に後世に語り継ぎます(語彙力なくなる系オタク)長文失礼しました (2022年11月6日 1時) (レス) id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 初コメ失礼します。お話が良すぎて、毎日2回は更新されてないか確認する日々でした…!!推しと親子のシチュでもう嬉しいのに、瑞希くんというオリキャラに惹かれまくって推しと同じぐらい好きになりました。もう瑞希くんとの恋愛メインでお話読みたいぐらい…!!!() (2022年11月6日 1時) (レス) @page50 id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲咲 | 作成日時:2022年8月12日 13時