夢なんてあるわけない【羽風薫】 (ページ6)

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五話ページ6

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『へ、へぇ〜』

放課後で、サボることがあるのって何？部活しか出てこないけど。

でも、羽風先輩は部活がないって言った。

………あっ、レッスンか。

アイドル科の生徒が部活もない放課後にサボることと言ったらレッスンしかないのか。

ここに来てから1ヶ月経つけど、まだ慣れないな。

「あれ、怒らないんだ？」

『………怒る？』

サボってるから怒るってこと？

そんな、先生じゃないんだから。ましてやユニットのリーダーでもないんだし。

「うん。これがあんずちゃんだったら、呆れながらも怒られてたよ」

あんず先輩真面目だもんな。対照的に私は不真面目なプロデューサーってことであまり仕事も貰えてないんだけど。

私はそれでもいいと言うか、不自由はしていない。

ただ私は行けそうな大学に行ってできそうな会社に就ければいい。

非現実的な理想は望まない。

『あんず先輩とは真逆ですから。あの人が働いてるなら私はサボりです』

「それって俺と一緒じゃん？サボり仲間だね」

『一緒にされるのはちょっと』

大して傷ついてもないだろうに、傷つくな〜と笑いながら言っていた。

………今日が、羽風先輩との初めての出会い。

サボり仲間と言われた日。