二十一話 ページ22
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私は今困ったことがある。
ダンボールを手で抱えている状態で、どうやってノックをしろというのだろうか。
足……はダメでしょ？行儀がなってない。
一回置くのも……ちょっと面倒。
片手で持つの……は重さ的に無理がある。
どうしたものか。
すると、ガチャり、と扉が開く。
｢うおっ！？な、なにしてんだ……？｣
うんうんと悩んでいると、生徒会室の方から扉を開けてくれた。
えーと、衣更真緒先輩、かな？
『ごめんなさい、ノックができなくて』
｢いいよいいよ。持つぞ？これ。重いだろ｣
衣更先輩はスっと、私が抱えていたダンボールを持ってくれた。
うわ、優男……。
｢君は……確かもう一人の転校生だよな？｣
『はい。初めまして、四宮Aです』
｢俺は衣更真緒だ！生徒会役員で会計をやってんだ｣
あれ、姫宮はなんだっけ？書記？ん？
まぁいっか。
｢ところで、これはなんなんだ？｣
『資料らしいです。なんの資料かは分かりませんけど……』
｢ふーん？届けてくれてサンキューな！｣
わお、とても陽って感じがする。
『あれ、生徒会室には衣更先輩だけなんですか？』
｢ああ。今日は皆予定が入っててさ。今日は俺一人だけなんだ｣
へぇ、そんなことあるんだ。
『夏休みにも生徒会室にいるんですね』
｢仕事が多いからな〜。四宮は？なんで学校に？｣
『部活です。海洋生物部なんで魚のお世話をしています』
一丁前に海洋生物部なんで〜とか言ってるけど。
｢あ、知ってるそれ。幽霊部員なんだろ？神崎から聞いた｣
『うえぇ、どうやったらそんな会話になるんですか』
クラス一緒なの？知らなかった。
『教室で話してたんですか？』
｢いーや？俺と神崎はクラス別だからな。合同体育とかで話したりしてた｣
神崎が愚痴ってたぞ〜とかケラケラと笑って言う先輩。
いやいやそれ、笑い事じゃないから。
『例えばなんと？』
｢部員なのに活動しようとする心意気が感じられぬ！とかなんとか｣
『嫌われてますよねそれ』
羽風先輩よりはマシだと思いたいな。
｢でも最近はちゃんとやってくれてるって言ってて好感度上がってた気がするぞ？｣
『それなら良かったです』
確かに思い返せば、最初の頃神崎先輩めっちゃ無愛想だった気がする。
その上に刀持ってるから最初めっちゃ怖かったもん。無愛想で刀持ってる人見て怖がらない人いないと思う。
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作者名：さかな | 作成日時：2023年10月23日 21時
