十九話 ページ20
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『………はぁ』
｢四宮さん、珍しく元気ありませんけどどうかしましたか？｣
『紫之くーん！聞いてよ〜』
昼休みに天使のごとく舞い降りた紫之創くん。
私の目の保養であり癒しである。
『今日の放課後三者面談あるんだよ〜。紫之くんはもう終わった？』
｢そうなんですね〜。僕は明後日です。でも四宮さんは目立った成績はしてないんじゃないんですか？｣
『それは……まぁまぁ……そうなんだけどねー。でも話すのが嫌なんだよね』
｢あー、それは僕も少し分かります｣
話すというか、話を聞くというか。
面談が終わった後のお母さんとの会話が一番嫌なんだよね。
何言われるかわかんないし。
『やっぱそうだよねー。ありがとう話聞いてくれて。スッキリした』
｢ふふ、よく分かりませんけど、スッキリしたなら良かったです｣
話したらスッキリするって本当だったんだね。
｢こんにちは。本日はご足労いただきありがとうございます｣
………ついに始まってしまった。三者面談というものが。
｢いえいえ。こちらこそ忙しい中お時間くださりありがとうございます｣
嫌だなぁ、この堅苦しい感じ。
面談系苦手なんだよね。二者面談もあまり好きじゃないし。
｢娘の成績などは大丈夫でしょうか？｣
｢大丈夫ですよ。テストも悪くないし、いつも上位をキープしています｣
テストの点なんてお母さん知ってるくせに。
私がそれを目指すのにどんだけ苦労したと思ってるんだよ。
｢入ってばかりですが、夏休みの間にはオープンキャンパスに行っておく方が良いかと。進路のためにはね｣
来た。私の嫌いな進路の話。
先生がこんな話をするから、お母さんも便乗するんだ。
まぁ、面談なんてこんなものだけど。
｢そうですよね。この子にはいい所に入ってもらいたいですもの｣
私の意見なんて無視で、大人の中だけで話が進んでいき、ただ無心で聞いてるだけで15分の面談が終わった。
内容は、ほぼほぼ進路についてだったと思う。
｢ありがとうございました｣
｢こちらこそありがとうございました。これからもうちの娘をよろしくお願いしますね｣
｢はい｣
教室を出て、廊下を歩いているとすぐにお母さんが先生の話を話題に出してくる。
｢先生が言ってたこと考えといてね。進路は早い方に決めとくのがいいんだから｣
頭の中、遊ぶことだけで考えたかったんだけどな。
『わかった』
しょうがないよね。
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作者名：さかな | 作成日時：2023年10月23日 21時
