第2話 ページ4
あのツムの話を適当に流した日から数日後、俺はその子を見つけてしまった。
前言撤回。
ほんまにおるやん。妖精というより天使?
渡り廊下でたまたま見かけた華奢な背中と綺麗な髪。
そして整った顔。
治「あっ…」
彼女が去った後白いハンカチが落ちているのを見つけた。
急いで桜の元へ走り寄って拾い上げる。
治「やっぱ書いてない…か。ま、それが普通やしな」
名前を知れるチャンスやと思ったのに残念や。
角名「おい治、早く行かねえと授業間に合わない」
治「あっ、やば。次なんやったっけ」
角名「確か…なんだっけ」
治「お前もわからへんのかい」
そのまま捨て置くわけにはいかないから適当にポケットに仕舞い込んだ。
練習が始まる前駄弁りながらもテキパキと準備を始める。北さんがおるから適当はできん。
尾白「やっぱおった方がええかなあ…」
北「まあいるに越したことはないけど、あんまり賛成はされへんやろ。俺らでできることもあるしな」
尾白「まあなあ…」
体育倉庫に向かう途中そう言っているアランくんと北さんが端目に映る。
なんのことやろうと思いながら籠を戻して戻ってくると、どうやらマネージャーがおった方がいいとかいう話やった。
尾白「倫太郎〜、お前はどう思う?」
角名「別にどっちでもいいです」
尾白「…やんなあ。お前はそういう思たわ。治は?」
治「俺もどっちでもええわ。おったらおったであのアホがうるさいやろ」
俺の言葉を正確に汲み取ったアランくんが「確かになあ」と零す。
隣の北さんも意味がわかったようで「せやな」とその話は終わりになった。
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作者名:さくさくぱんだ | 作成日時:2020年6月1日 13時