舞踏会 ページ34
貴女side
淡い緑色に染められた布と、繊細にほわりと広がるレースリボン。控えめに縫い取られた宝石がキラキラと輝いている。
こんな豪華なドレスを着るのは、初めてだった。
「んーっ、Aかわいい!髪もおろして、前髪ちゃんと留めれば、野暮ったさがなくてかわいいのに!
ほんと勿体無いことしてるよね?」
着付けを手伝ってくれた雪乃さんは、なんだか失礼なことを言いながらにこにこと上機嫌。
「でも…なぜ私が?いつものパーティならせいぜい私は従者ぐらいでは」
「あくまでAは朔間家のご令嬢だからね。そろそろ世に触れなきゃダメなんだよ」
彼女は快活な口元を少し困ったように歪めて、目を伏せて微笑んだ。
その表情の意味がわからないまま、雪乃さんはさあさあ立って!とにぱっと笑顔を見せる。
「どうしようかなぁ、ネックレス必要かなぁ」
「あ、要らないです」
「即答だね?…まあ本人が言うならいっか」
邪魔になりそうだし、と雪乃さんも元も子もないようなことを満面の笑みで呟いた。
「さ、坊ちゃんたちが待ってるから」
行くよ、と言って引かれた手によろめきながらどうにか部屋を出た。
そこには、しっかりと正装した朔間兄弟がいて。朔間さまは、おや と頰を緩め、朔間くんは静かに私を眺めている。
「似合っておるのう、ふむふむ、Aは華やかなドレスもよう似合う」
「…ん、いいんじゃない?」
「ありがとうございます、お兄様」
二人の顔が少し歪んだ。今日はパーティで、客人は全員貴族だ。彼らには私たちは正式な兄妹で通っているはずだ。
そう言って、朔間さまがその間だけお兄様呼びをするのが自然だろうと結論してくれた。
「慣れないのう…だが我輩は嬉しいぞい」
「あくまで今日だけです」
にこにことだらしなく笑っている朔間さまに釘を刺せば、彼は肩を竦めた。
そろそろ行くよ、という旦那様の声に駆け出しかけたとき、
「待って、A」
ぱきん、と音がして、朔間くんが手に持った花を私の髪に挿す。
「…かわい」
自信持ってよね、なんて言葉と一緒に撫でられた頭に、私の体はジワリと熱くなった。
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「…あら、坊っちゃまったら。白い椿の花ね」
そう言って微笑む、雪乃の姿。
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白い椿…愛慕、愛らしい、申し分のない魅力
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蝶遊(プロフ) - 私も推しが似てて嬉しいです〜! か、活躍…できる限り頑張りますっ!!笑 (2018年9月2日 7時) (レス) id: 231773e0eb (このIDを非表示/違反報告)
▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中(プロフ) - 蝶遊さん» 来てしまいました~笑 推しが似てて嬉しいです..凛月くん人気!!!!!!!!! 今後の作者様の活躍を期待していますっ (2018年9月1日 19時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
蝶遊(プロフ) - ▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中さん» わわ、こっちにも来てくださったんですね! なんか推しが似てますね…笑 コメントありがとうございます!! (2018年9月1日 19時) (レス) id: 231773e0eb (このIDを非表示/違反報告)
▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中(プロフ) - うはぁぁぁ!!!!!!!!!歌い手小説からやって来ました(*''*) 推し…同じです!凛月くん~~好きや~~!!笑 (2018年9月1日 18時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
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