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貴女side
「はぁ?」
朔間くんは、拍子抜けしたように目を瞬かせている。
それに対し、朔間様はよろしく頼んだぞい、とニコニコと椅子を引いている。彼の中で話は終わったも同然のようだ。
朔間くんは、私に視線を向けると、表情の読めない声で話しかけてきた。
「俺は別にいいけどさ、Aはいいの?」
「…なにが、ですか?」
「……あっそ。いいなら、いいけど」
居心地悪そうに髪を搔き上げる朔間くんに、私が首を傾げると、運ばれてきた肉をナイフで切っていた朔間様が、微笑を浮かべたまま声を出す。
「Aも、凛月のことを嫌ってるわけがないじゃろうて」
「…うるさい」
今はなぜ朔間くんが怒っているのか、全くわからなかった。朔間様の言っていることも繋ぎが謎だったし、変に突っ込みたくなくて端正な朔間くんの横顔を眺めた。
不機嫌そうに細められた瞳には、なんとなく、もどかしさが滲んでいて。
意味がわからないまま料理と一緒に飲み込んだこの表情の意味は、きっとわからずじまいだろう。
そんな様子を、鋭い視線で眺める者が、ひとり、ふたり______
知る由も、ない。
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「A」
ゆっくりとフォークに突き刺した、ケーキの最後の一切れを口に入れた朔間くんが、ゆっくりと私に声をかけてきた。
「なんでしょう?」
「ダンス、やろっか」
視線を落としたまま、きぃと音を立てて椅子を引く朔間くん。
はい、と返事をすると、艶のある髪をくしゃりと手の中で掻き乱す様子が。自分の食べたお皿を、洗いやすいように水に浸ける様子が。ちゃんと私が電気を消して部屋から出るまで待ってくれている様子が。
なんとなく、意味もなく、胸を突いた。
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蝶遊(プロフ) - 私も推しが似てて嬉しいです〜! か、活躍…できる限り頑張りますっ!!笑 (2018年9月2日 7時) (レス) id: 231773e0eb (このIDを非表示/違反報告)
▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中(プロフ) - 蝶遊さん» 来てしまいました~笑 推しが似てて嬉しいです..凛月くん人気!!!!!!!!! 今後の作者様の活躍を期待していますっ (2018年9月1日 19時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
蝶遊(プロフ) - ▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中さん» わわ、こっちにも来てくださったんですね! なんか推しが似てますね…笑 コメントありがとうございます!! (2018年9月1日 19時) (レス) id: 231773e0eb (このIDを非表示/違反報告)
▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中(プロフ) - うはぁぁぁ!!!!!!!!!歌い手小説からやって来ました(*''*) 推し…同じです!凛月くん~~好きや~~!!笑 (2018年9月1日 18時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
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