とまとじゅーす ページ13
晃牙side
「おい、起きやがれ」
そう言ってガンッと棺桶を荒々しく蹴り上げると、むくりと大きな影が起き上がった。とりあえず近くで騒いでいる葵兄弟は、気にしない。
「躾のなっておらんわんこじゃのう…トマトジュースは買ってきてくれたかえ?」
「お前が言ったんだろうが」
トマトジュースの小さな缶を放り投げると、嬉しそうに頰を緩めた吸血鬼野郎は気にせず飲み出した。
ふと、さっきリッチーの妹と名乗った女を思い出す。
艶にある黒髪、聡明そうに伏せられた深慮深げな瞳を思い出して、目の前の吸血鬼野郎やリッチーには似ていない面影。
「そういやさっき、妹に会ったけど」
「妹…あぁ、Aか。本当にやってきたのか、凛月の嫉妬にも困るものじゃのう……」
まあ愛しの妹たちがきたのは嬉しいことじゃがの、と和やかにトマトジュースを啜る吸血鬼野郎。
「えっ、朔間先輩妹いたの⁉ 二年生?」
「そうじゃよ、葵くん。わんこと同年代じゃ。そしてAはの、とてもとても可愛らしい子なんじゃよ。どこがというと、」
極度のブラコンの上に、シスコンだったという事実が発見された。
可愛いというよりも、綺麗なほうに寄るような少女だった。人見知りなのか口調はたどたどしいが、義務的な柔らかい敬語を話す。
ほわりとはにかむ笑顔は、上の兄弟にとても似つかないというか。
そのことを訊くつもりだった口は、吸血鬼野郎の熱弁に挟むことさえできなかった。
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蝶遊(プロフ) - 私も推しが似てて嬉しいです〜! か、活躍…できる限り頑張りますっ!!笑 (2018年9月2日 7時) (レス) id: 231773e0eb (このIDを非表示/違反報告)
▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中(プロフ) - 蝶遊さん» 来てしまいました~笑 推しが似てて嬉しいです..凛月くん人気!!!!!!!!! 今後の作者様の活躍を期待していますっ (2018年9月1日 19時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
蝶遊(プロフ) - ▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中さん» わわ、こっちにも来てくださったんですね! なんか推しが似てますね…笑 コメントありがとうございます!! (2018年9月1日 19時) (レス) id: 231773e0eb (このIDを非表示/違反報告)
▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中(プロフ) - うはぁぁぁ!!!!!!!!!歌い手小説からやって来ました(*''*) 推し…同じです!凛月くん~~好きや~~!!笑 (2018年9月1日 18時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
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