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沖「ところでAさん」

沖矢はAの隣に座って切り出した。

『はい』

沖「...もしかしたら、僕の事で悩んでる事が
あるんじゃないですか?」

沖矢の言葉にドキッとするA。

『ど、どうしてですか...?』

沖「...よくあなたからの視線を感じるんです。
その後に必ず、悲しい顔をするので...」

『そ、れは...』

Aが躊躇(ちゅうちょ)していると沖矢は
柔らかい声でそっと言った。

沖「...あなたの力になりたいんです。
...話してもらえてませんか?」

そう言われ、Aは膝の上で両拳を握って
俯きながら口を開いた。

『...私、恋人がいたんです...でも、その恋人、
死んでしまったんです...焼死体で発見されて...』

ポツリポツリと話すAに沖矢はただ黙って
聞いていた。

『彼は仕事柄、常に死と隣り合わせの危険な
身だったので...受け入れるしかないんですけど...』

でも、とぎゅうと拳を強く握るA。

『でも...それを受け入れられない自分がいて...
それに、沖矢さんにも申し訳なくて...』

沖「...僕に?」

沖矢が聞くとAはコクンと頷いた。

『私、あなたのにその人の影を重ねてたんです...。
沖矢さんは沖矢さんなのに、どうしても彼の姿が
チラついて...』

ポツ、と涙の雫がAの拳に落ちた。

『...沖矢さんに、好意を持ってしまったんです...』

Aがそう言った時、沖矢の眉がピクっと動いた。

『でもその動機は、彼の面影を感じるからって
いう不純な動機で...こんな未練たらしくて最低な
自分が嫌で...』

溢れる涙を隠すように両手です顔を覆うA。

『本当に...ごめんなさいっ...!』

そう言った時...

『っ...え...?』

Aの身体は温かいものに包まれた。

そっと目を開くと顔の横に沖矢のピンクがかった
髪が頬に触れる。


「そんな顔をするな...」


沖矢のその言葉に、Aの心臓は、ドクン...ドクン
と激しく波打つ。

いや...今の声は...

『...沖矢さん...ですよね...?』

Aの問いに何も答えない沖矢。

『...ねぇ、もしかして...』

その時、Aに急激な睡魔が襲ってきた。

『...お、沖矢さ...』

どんどん瞼が下がり、薄れゆく意識の中で
Aは呟いた。

『...あ、かいさ...ん』

そしてAは意識を手放した。

沖「.....」

沖矢は、それを確認するとソファにAを
寝かせた。そしてAの飲みかけの紅茶に
目をやり、それを片付けた。

*→←*



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みち - 43ページのジン可愛すぎかよ… (2019年5月1日 4時) (レス) id: 737d5e15b0 (このIDを非表示/違反報告)
レモーン(プロフ) - 音さん» 大丈夫ですよ! (2019年2月26日 3時) (レス) id: df95101de3 (このIDを非表示/違反報告)
- またまた続けてのコメントですみません...。 2回目にしたコメント字が抜けてました...。 私は修学旅行編はアニメで見した。 これ正しくはアニメで見ました。 でした。 すみませんでした...。 (2019年2月18日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
- また続けてのコメントですみません...。 作者さんにお聞きしたいことがあるのですが...。 作者さんとお話したいと思っているのですが...。 ここ以外でお話することって可能ですかね? (2019年2月18日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
- 続けてのコメントですみません...。 私は修学旅行編はアニメで見した。 ここの小説ではこの修学旅行編を書いてる 人って居ないですよね? ここの小説でも読んでみたくて探しては みたのですが...。 いつかここでも読めたら良いですよね?...。 (2019年2月18日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レモーン | 作成日時:2017年9月27日 23時

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