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「おぉ、レオナさんも優しく……って!
!? ない! 俺のドーナツ、取ったんスか!?」
「……さぁな」
「まぁ、監督生くんがそれで薬を飲むなら……」
「さぁ、草食動物。
ドーナツのために薬を飲むか、ただただ薬を飲むかの二択だ。好きな方を選べ」
結局は薬飲まなくちゃなのか。
「……本当に、ドーナツくれるるんですよね」
監督生くんも物で釣られないの!というラギーさん?の言葉を無視し、粒状の薬を水で流し込む。
こういう時の水って不思議だ。水ですら苦く感じてしまう。
「おぉ!監督生くん、ちゃんと飲めたじゃないっスか〜!」
「……頑張りました」
手渡しされるドーナツ。味はほんのり甘さを感じるのみで、いつか食べたチーズタルトを思い出す。
しっかり休めよ、という三人の言葉を枕に挟みながら、監督生は再び夢の中へと潜った。
---
「全く、君は自分の体調管理すらできないのかい!」
咳で眠りが浅い。
そんな浅い時に、扉が物凄い音を立てて開かれたら誰だってびっくりするだろう。無論、俺もだ。
入ってきたのはリドルさんと、トレイさんにケイトさん。
どうやらリドルさんは(英語の指導をするため)待ち合わせの場所にいたが、中々来ない俺を心配してくれたらしい。トレイさんとケイトさんはエースやデュース経由でこの事を聞き、三人で急いで俺のところまで……と。
なんだか泣けてくるなぁ。
「はい。食べやすいように林檎のゼリーを作ってきたんだ。冷たいぞ〜?」
「わ、いいんですか!?
ありがとうございます、いただきますね」
「監督生ちゃん、そんなに慌てなくてもいいと思うよ……?」
喉が痛く、唾ですら飲み込むのが酷かったが、このゼリーは全く痛くない。トレイさん、まじすげぇ。
「監督生。これからは、なるべく体調が悪い時は言うんだよ。キミの周りにはエースやデュースがいるだろう。
なにかあったら、あの二人経由で僕達に届くから」
「いや、そこまで迷惑はかけられませんし……」
「僕達がいつ迷惑と言った?
これは……そう。好意というものは、受け取っておくべきだ」
俺の頭を撫でるリドルさんの手は、俺が思うよりもずっと大きかった。
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Ray - この小説を読むと暖かくて優しい気持ちになれるので大好きです!これからも更新頑張ってください! (2022年8月17日 0時) (レス) @page39 id: aecf2fd8ab (このIDを非表示/違反報告)
筆跡(プロフ) - レモンさん» コメントありがとうございます!私は監督生くんの年齢と離れているため、実際の口調と合っているか分かりませんでしたが 同年代の方にそう言っていただけて幸いです!これからも頑張りますー! (2022年8月8日 22時) (レス) id: defeff8d6b (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 初コメ失礼します!前からこのお話は読ませて頂いております!!最新話、とても面白かったです。男主くんに年が近いのか親近感わきます、、、、、。英語がわからないのは辛いですよね、。これからもお体に気をつけて、頑張ってください!応援してます! (2022年8月7日 21時) (レス) @page39 id: 069557edb4 (このIDを非表示/違反報告)
筆跡(プロフ) - おいさん» コメントありがとうございます!あそこは私も書きながら笑っていました(笑) 更新頑張ります! (2022年1月30日 3時) (レス) id: defeff8d6b (このIDを非表示/違反報告)
おい(プロフ) - 最後みんなの心配さにホワッとして笑っちゃいました!笑 これからも更新楽しみにしてます! (2022年1月29日 23時) (レス) @page37 id: cdba16656d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:筆跡 | 作成日時:2022年1月13日 7時