食い食われ (ページ11)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:2,090 hit

11 ページ11

「や…柳くん、待って…ふ、ふふ」

「……」

結局肥料運びを手伝うことにした蓮二、もとい雅治。
いざ持ってみるとこれが本当に重かった。雅治も予想外だったのか、思わず蓮二でいられなくなってしまいそうになった。

「フラフラだよ、私みたい」

「こら、笑うな」

「ふふ、ごめんなさい…っふ」

そもそも何故彼が蓮二にイリュージョンしているのかというと、彼の中で部活に遅れて出ても怒られそうにないメンバーにあげられるのが精市、副部長の真田弦一郎、蓮二。
自分がイリュージョンするのに今日1番都合が良いのが誰か考えた結果、それが蓮二であった。

「大丈夫だよ、これで最後だし」

というか、いつもサボって遅れて出ているから自分が怒られているのであって、ちゃんとしていれば向こうも理由もなしに怒ったりなどしない。

「……」

あとは適当なタイミングでそれを解き、仁王いつからいたんだ？の感じでしれっと参加しているように見せる予定だったのだが。
反射的にAを助けてしまったため、ややこしいことになってしまっている。

「…頑張ってくれ」

「！」

そう言ったAの言葉に甘えて、その場を去る。
ついでに、手を頭にぽん、と軽く置いた。

「……あ、へへ」

「……ほーう…」

意外な反応を見せるAに、雅治は察する。
良い遊び相手が増えた。そう思ったのだった。
その後部活に向かった雅治だったが、会議で遅れて来た本物の蓮二の登場により弦一郎にこっぴどく怒られたらしい。