【黒バス】声を失った歌姫

22曲目 ページ25

「休憩！」



赤司くんの号令に続いて、一気に人が…こっちに…おっと、貧血起こしてる場合じゃない…←


タオルとスポーツドリンク、渡さなきゃ…




「ありがとう」


「ありがと〜」


「ありがとうなのだよ」


「どーもっス！」





たくさんの人が私の手の籠からタオルとスポーツドリンクを取っていく。








…その内に、私の腕は小刻みに震え始めた。








…早く皆取って…腕が…死ぬ…死んじまうよ…‼︎←









・




「再会！」





…あぁ…やっと…やっと…私にとっての休憩時間きたァァァァァァ！←




皆にとっては地獄の時間かもしんないけど←







まぁ、それでもまた次のスポーツドリンク作らなきゃいけないんだけどね…







「白銀、手伝うよ」






…え…なんで…？



いきなり隣から聞こえてきたのは練習中の筈の赤司くんの声だった。



申し訳ないし理由もないけど…だからといって断ったら…面倒くさいことになるからね〜…←





赤司くんは私の横に座り、スポーツドリンクの粉が入っている袋とハサミを手に取った。







「これを切っていけばいいかい？」


『はい、ありがとうございます』








ｼｬｷﾝ



ｼｬｷﾝ







…






タオルの準備をしながらも、気になって、ちらっと隣の赤司くんに目をやると、








「ふふ…(ｼｬｷﾝｼｬｷﾝ」←









薄く笑いながら、本当に楽しそうにハサミで袋を切っていた←









((((；ﾟДﾟ)))))))←







ﾜﾀｼﾊﾅﾆﾓﾐﾃﾅｲ←




ﾜﾀｼﾊﾅﾆﾓﾐﾃﾅｲｱﾙﾖ…←






すぐ様、ばっと目の前の自分の仕事に全力で取り組む。





向き直る直前に恐ろしいほどに真っ直ぐな切り口の袋の端が見えた気がしないでもないけど！気のせい！ハサミの使い方うますぎだろ！気のせい！気のせい！←←








必死で自分の仕事に取り組もうと(現実逃避)していた時だった。








「危ないっ‼︎」









…ん？








黄瀬くんの声に反応して顔を上げたと同時に、頭に強い衝撃が。




かけていた眼鏡があるぇ？割れた？な音を立てて吹っ飛んでいった←









グラリ、と世界が回る。









「あっ」









ｼｬｷﾝ









…意識を失う寸前に聞こえたのは、


綺麗なハサミ音だった…←

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