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第弐話「雷と少女と」 ページ3

**


(頑張れ、俺!!自然に、そう自然に渡せばいいんだ!)

緊張で震える手を何とか抑え込んで、自分を鼓舞する。周りに誰もいないことを確認すると、その華奢な背中に声をかけた。


「Aちゃん!!」


思っていたよりも、上ずって大きくなってしまった声に羞恥で顔に熱が集まる。


『どうしたの?善逸』


前にいた彼女は一瞬、肩を震わしてからゆっくりとこちらを向いた。小さな顔に沿って切り揃えられた髪が、彼女の動作に合わせて揺れる。


「あ、えっと……これ!Aちゃんに似合うと思って、」


サッとそれを取り出して、Aちゃんの前に突き出した。彼女は少し驚いた後、俺の手からそれを受け取る。


『わぁ!!……綺麗な髪飾り』


一目惚れだった。非番の時に街を歩いていて見つけた、花を模した髪飾り。髪が短い彼女には、簪よりもこちらの方が良いと思ったのだ。


『つけてみてもいい?』

「うん」


弾んだ声と共に、Aちゃんが俺の髪飾りを綺麗な自身の黒髪に加える。……自分でもいい買い物をしたなと思う。

橙色を基調とした花は中心にいくにつれ、黄色に色を変えている。光を受けて眩く輝くそれは、太陽のよう。


『どうかな?』

「すっっごい、似合ってる!!」


似合うと思っていた。君の音は、暖かくて陽の光を浴びているようなそんな安心を与えてくれるから。

Aちゃんは、臆病な俺を馬鹿にするわけでも、失望するわけでもなく寄り添ってくれる人だから。


_________


「キャァァァ!!なにこれなにこれ?!もうやだ帰りたい!!」


初めて君と任務で一緒になった時、可愛い女の子が一緒だからと調子に乗った。気づくと、四方を鬼に囲まれている。

逃げ場もなくてもう駄目だと諦めた時、

__罪の呼吸 肆ノ型 色香

目の前で蝶が舞う。否、蝶だと思ったものは先程の可愛い女の子だった。鬼の頚を斬っていく、その姿は何とも綺麗で、思わず見惚れてしまう。


『大丈夫?』


鬼の返り血に汚れていながらも彼女の笑った顔は女神に見えた。その笑顔に全身の血液が沸騰したんじゃないかというくらい、熱くなる。


「ぁ、あぁの!!俺と、」


可愛い女の子を見ると、息を吐くように出てきた言葉が今は何故かとても緊張する。落ち着け、と心の中で呟いて息を吸う。


「結婚してください!!」


初めて、だった。求婚を迫って、こんなにも穏やかな音で優しい顔で笑われたのは。


『あははっ、面白いね君。名前は?』

◇→←◇



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設定タグ:鬼滅の刃 , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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白猫さん(プロフ) - 泣きました。泣きました。 (2021年10月10日 20時) (レス) @page39 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - あと、今更なんですが、1話の「宇隨」ではなく宇髄だと思います! (2020年9月27日 14時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!お話面白かったです!更新頑張ってください! (2020年9月27日 14時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - mustardさん» コメントありがとうございます。最後の話は私自身、悩み悩んで書いていた部分なのでそう言って貰えると嬉しいです!夢主にも鬼滅キャラにも今世では幸せになってほしいです…楽しんでもらえて、良かったです^^ (2020年4月14日 22時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
mustard(プロフ) - わぁ!完結おめでとうございます!!とても面白く読ませて頂きました。夢主ちゃんが最後に皆に会いにいく所で涙が出そうになってしまいました(笑)今世で幸せになって欲しいです。 (2020年4月14日 20時) (レス) id: e36ed0dc7b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちょこもち | 作成日時:2020年3月18日 17時

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