Tennis match No.8 ページ9
ある程度まで下った所で、手を離す。着地ができないなんて訳じゃないから心配は無用なのだ。落下する感覚はあまり慣れないがいずれは慣れなければいけない予感もする。…肉体的な落下にしても、精神的な落下にしても、必要性を感じた。嫌に小さな石ころが立てる音が大きく聞こえる。じゃりじゃりとした音は耳障り。着地に対して足首から膝や大腿骨、腰には負担が掛かるがこの方が楽なんだ。後は施設へ戻るのみ。軽く身体を上へ横へと伸ばしながらに合宿所へと戻る道に着く。飛び降りた姿を監督に見られているとも知らず。
16面コートを上手く避けて施設へと戻って来た。入る前にある程度の埃は払い落としているけれど気に食わなかった。少しばかり薄かった空気は室内に入ったから問題無い。一度服装を整えてから黒部コーチの元に向かわないと。流石にこれは失礼になる。少し埃っぽくなったし所々薄汚れてしまった。服装に似合わない様な事をしたから余計かな。ぼんやりぼんやりとしながらに割り当てられた部屋へ戻る。その途中、チラついた人影があったから自然と壁へと寄ってそっと覗いてみる。……濃い金髪に、丸眼鏡。貫禄は漂う赤髪に、ストイックな雰囲気の黒髪の、男達。…あんまり会いたくないタイプだ。そして思わず凝視してしまった。視線を感じたのか否か、不意に金髪の彼が振り向いてしっかりと目が合った。これはまずい。でも私の部屋は君達のその先なんだな。…詰んだかな。
「あれ？」
「どうかしたのか、入江」
「いや…見慣れない子が居るから」
「見慣れない？」
「ほら」
指し示されてしまったからもう手に負えない。いや、負うとか負わないじゃなくて単に姿が露見したんだからどうしようもない。よく考えたら足音が聞こえるなあ、それは基本バレるか。仕方無いのか。
「…どうも」
「お前は？」
「…コーチの方々から呼ばれた、と言えば良いんですかね」
「呼ばれた？」
基本招待制だとしても私は女だ。性別が性別だから余計に疑わしいのにコーチは私をそのまま放り出すから。…黒髪の彼の目が細められた。
「…女か」
「…だから何だと言うんですか？外見で人間を判断するのは、先入観や偏見となりますけど」
初対面にして印象最悪なのは、向こうの対応も悪いと思う。私は当然の事を言った。どうせここに仲良しごっこに来たんじゃないんだから関係ない。
「失礼します、あなた方に用はありませんから」
「ねえ君、名前は？」
頼むから、呼び止めないで。
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唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました！ 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (
レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍梓 | 作成日時：2017年12月7日 22時
