Tennis match No.45 ページ46
大広間に着くと、多数の人間が輪を作っていた。どうせそんな事だろうと思った。異国人という肩書きも勿論、容姿端麗だからこそ目立つ。…故に苦労はしたのかも知れないし、彼女の両親も容姿は綺麗だ。中身は酷いくらいだけど。容姿端麗と容姿端麗の間に生まれる子どもも容姿は端麗。…時折感じるのは、世の中とは残酷なものだな、と。ゆっくりと人の輪に向かって歩く。すると私の方を見て一瞬で顔を輝かせたナタリアの姿が見えた。人の波を掻き分けて彼女に近付くと軽いハグをされる。
「A！」
「…
「
ハグを返しながらロシア語で話し掛ければロシア語で返される。教わりながら生活していた事で話せる様にはなっているが、私以外の中学生や高校生には分からないであろう。その為、私が通訳役となる事で解決はする。ナタリアだってある程度は日本語が話せると思うが不安になるとすぐ母国語に戻ってしまう。ナタリアの悪い癖だな。…彼女は日本語を聞いて理解もできるが分からない時もあるから…面倒だけど。
「…本来出向くつもりは無かったけど…まあ良いか。ナタリア、日本語で自己紹介して」
「…はい。ナタリア・カバレフスキーです。暫くの間、宜しくお願いしますわ」
ふんわりとした印象を受ける彼女に虜なのは良いが私からするととてつもなく帰りたい。部屋に逃げ帰りたい。さっさと帰りたいから、と私は大勢に向けて問い掛ける。
「聞きたい事ある人は挙手…」
言った途端に突然大量に上がった手は何本になるのだろう。最早気持ちが悪いレベルまで手が上がっていて凄くゾワゾワする。
「…ああもう。英語が話せるのなら英語を話せる子を通訳にしてくれるかな、ナタリア」
「どこへ行きますの？」
「それを聞いて君はどうする訳なのかな、ナタリア」
彼女をそうあしらうと周りから聞こえるヒソヒソとした声。面と向かって言えば良いのに何故そこまで卑屈なのか。面倒だ。よっぽどナタリアの方が単純で扱いやすい。…日本人の弱点はきっとそこで、押し切られると特に弱い。ひらひらと手を振りながら大広間を出る。それに合わせて足を動かしたのは永四郎と奏多、白石くんだった。…まあ当たり前だよね。
「…わざとらしい話し方やったなあ」
「そうですねえ…猫撫で声でしたし」
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唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました！ 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (
レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍梓 | 作成日時：2017年12月7日 22時
