Tennis match No.40 ページ41
「それは名前だけ。中身は獰猛な獣宜しく男を取っ替え引っ替えしてる面食いなだけだから。…彼女も親が居る所だと借りてきた猫みたいに大人しいんだけど」
「それがそうでもないんだね？」
「…そういう事。恐らく…というか、私はすっかり慣れたんだけど、この合宿所には男子ばかり。美形が多いからナタリアは…きっと、ミーハーの如く…ってね」
「…ねえA。もしかして」
奏多の言葉に、永四郎の眼鏡が緩く光った。何も言わないのを良い事に、私は口を開く。一度悪役になってやる、と。
「そんなん、向坂さんが危ないやん！怪我する可能性だって…！」
「だからこそ、かな。…彼女、自分を傷付けて周りの視線を浴びるのが大好きだから。一度上げて後から叩き落とす事にした。勿論、やられっぱなしにはならないから安心して」
煮え切らない顔をする男達を目の前にして、私は罪悪感ばかり募る。もし仮に私が意思を曲げずにいた場合、次に
「…途中で、疑い始めた人物がいたら私の所に連れて来て欲しい」
「…良いのか？」
「そうでもしなきゃ信じないものなんだよ、人間ってね」
可能性は低いけど、身体を張ってこんな事をするのも最初で最後だ。だからこそ失敗したら即刻被害を受けるのは私も勿論彼らだ。…責任はかなり重い。どんな手を使って私を追い詰めて連れ帰るつもりなのかな、その辺だけは気になる、かな。
「…やっぱり認められんさ、こんなの。
「やめなさい、甲斐クン。見苦しいですよ」
「でも…！」
「…謝るつもりは無い。私はもう意志を変えちゃいけない。貫き通す事で乗り切ってみせるから。…だから、信じて欲しいんだ」
どうしても、彼らには認めて貰わなくちゃいけない。
「…信じるよ、Aの事」
「
「向坂さんの頼みやし、しゃあないわ」
「…嫌だ」
「裕…」
まだ信じたくないといった様子の裕に、何とも言えない複雑な気持ちを抱く。どうにも、甘いのは昔から引きずってるみたい。私も、永四郎もその辺りは変わらないけれど。
「…
「勿論、頑張るよ。…有難う」
私の悪夢は、ここから始まる事になった。
Tennis match No.41→←Tennis match No.39
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました！ 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (
レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藍梓 | 作成日時：2017年12月7日 22時
