Tennis match No.32 ページ33
しょげていると言うと厳密には違うのだが、だけどそんな風に見えたんだ。だから思わず彼の柔らかな色合いの髪を撫でてしまっていた。手の届く範囲に頭があったから、つい。
「…君も甘えるのが下手なんだ？」
「な、何やねん…やめてえや、お姉さん。落とすで」
「白石くんは…うん、
そして、私の
「…君が良かったら、後で連絡先でも交換しておく？」
「ええの？」
「構わないけど…食い付きが強いよ、何で私を抱える腕に力が入ったのかな」
離さない、なんてそんな風にする彼を相手にしていると調子が狂う。奏多程にあしらえる訳じゃないし気を遣ってしまうから、罪悪感が生まれそうだ。揺れる視界と流れる景色に視線を向けて、溜息を吐く。きょとんとした顔はどうにも年相応だから、頬を抓っておいた。
「
「君も男の子なんだなーって？触れてると分かるけど、随分と鼓動が早いね」
「…お姉さん運んでるからやろ」
「
歩いて私を運んでくれる白石くんには悪いけどとても楽しい。その上有難くて、繋ぎ止めて正解かも知れないなあ。年下だからと思わない方が良い、とかを前に永四郎に言われた記憶もあるけど、残念ながらその忠告は守れそうに無いよ、永四郎。君も裕も年上からしたら可愛いだけなんだから。
他愛も無い会話を続けて、合宿所が見えた所で白石くんには下ろして貰う。流石に申し訳無さが募ってきた。痛みが引いているとは言えないけど、歩ける程には感覚も力も戻って来ていたから。
「大丈夫なんか？」
「そんなヤワじゃないから大丈夫。ほら、もう少しでメニューも終わるなら頑張らなきゃね」
僅か下がった白石くんの頭をわしゃわしゃと撫でてから肩を叩く。拗ねた様な顔をしている目の前の彼の幼さに肩を竦め、背を向ける。そして、彼に向かって投げるのは私の持つスマートフォンの電話番号が書かれた小さなメモ。迷わずキャッチした彼に緩く笑んで合宿所へと歩き、彼と別れた。
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唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました！ 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (
レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍梓 | 作成日時：2017年12月7日 22時
