Tennis match No.28 ページ29
無意味に時間を過ごすなんて無駄をしたくなくて、取り敢えずとしてシャワーを浴びた。どこに立っても考える事は一つしか無い。かなりの上の空の様で、夕食を摂る時も鬼くん達には心配されてしまった。恐らく永四郎も私の様子には気が付いているみたいだけど、特に接近してくる様子が無いからあまり注視してはいない。時折視線を向けられている事は分かっているけど私から話すつもりは毛頭無い。
夕食を済ませた後、奏多と一度別れてからの自室。窓から見える星空に今は何を思わなかった。私を揺らすメッセージが無ければ、感嘆を漏らしていた筈なのに。すっかり動揺している様で、考え込む事はいつも以上に増えている。お陰でどんどん時間が過ぎていく上にさっき別れたと思っていた奏多がラフな部屋着を身に纏って既に部屋に居て、十数分は経ったと言うんだからもう駄目なのかも知れない。
「…随分ぼーっとしてるけど本当に大丈夫なの、A」
「どう、だろう…分からない」
「何があったの」
彼のその言葉を聞いて、私は全てを話す。ロシアの知り合いの
「…連れ戻される可能性が高い、か」
もう頷くしかできない。今にも叫びたかった。震える手が脳の指示に従ってくれない。そもそも、私はロシアで知り合いにロシア代表のテニスプレイヤーになれとずっと言われていた。それを振り切ると同時に知り合いの元を離れたきっかけはU-17からの書面だった。それを理由に帰国して今現在に繋がるのだが、振り切った事は知り合いの顔に泥を塗った事に他ならず、だからこそ意地でも私を向こうへと連れ戻そうとしているのだと。もう知り合いの元に戻るつもりも無いし、戻りたくない。それを告げると奏多は、私に向かって手招きをした。拒む理由は勿論無いから、と彼に近付くと突然強くなる彼のシャンプーの香り。持参したシャンプーだと聞いていたけど、常にその香りが仄かにしていたから違和感は無かった。だけど、あまりにも近過ぎた距離で、シャンプーの香りを強く感じたのは初めてで。一瞬、状況判断ができなかった。目の前には思っているよりも広い彼の肩口、視界の端には彼の金髪。…困ったな、どうしよう。
「…奏多」
「僕は、Aを守りたい。君が嫌だと言っても、ずっと僕の近くに居て欲しい。僕が描いたシナリオ通りに事が運べなかったとしても、Aから言って欲しいんだ。…僕の事を好きだって」
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唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました！ 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (
レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍梓 | 作成日時：2017年12月7日 22時
