Tennis match No.27 ページ28
「…君は、何があっても私を信じてくれる？」
彼は、何も言わずに頷いてくれた。他にも言えば頷く人は存在すると思うけど今は奏多の肯定があれば良いや。力無く瞬きをしながら、頭を抱える。どうしたら良いのか。
私がロシアに渡ったきっかけに僅かに関与していて、向こうでの生活と環境を提供してくれた知り合いには娘がいた。その娘がまた性格に一癖二癖と難があり、
「…奏多、今日の夜に予定は？」
「無いよ」
「…私の部屋に来て」
「…分かった。待っててね」
彼自身の性格に裏表がある事を彼が理解しているから、私の瞳を見るだけでも何を思って何を隠しているのかは大体把握できると以前に彼から聞いた。だから今この場で私に何の用があるのかを聞かなかった。それができるタイプの人間としか親しくなれない私も私だが、どうにも今回は余計な嵐を私が招いてしまう様だった。
そして、中学生の勝ち組と負け組とを分ける試合が全て終わった。永四郎は勝ち組だと聞いたし、裕は負け組だと聞いた。べそべそとしていた裕には後で元気付けるメッセージでも送らなきゃいけない。永四郎にも簡単に祝うメッセージを送っておきたいところ。そろそろ日が暮れそうになる、明るい青とオレンジの混ざった空を見上げて、そろそろ負け組が三船コーチの待つ山に着いた頃だろうか、と考える。結局今日は試合といった試合をしないまま終わったけど、寧ろこれで良かったと思う。今のままの私がラケットを握った所で澄んだ力のボールは打てない。迷いを無くした状態じゃないと、私は。
「…はあ」
駄目だ、息が重い。心身が重たくて動きたくない。取り敢えず部屋へと戻って来たのは良いけど、ベッドに寝転がったまま何もできない。するにしても天井の模様を眺めるくらい。送られたメッセージには返事はしていない。しなくたって来る事は明白だ。…元々関わらなければ良かったんだろうなあ。ロシアに渡って後悔している。今、物凄く。
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唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました！ 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (
レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍梓 | 作成日時：2017年12月7日 22時
