Tennis match No.25 ページ26
まだまだ、終わりそうにない沢山の試合。興味を惹かれるものはあまり無くて空に浮かんだ雲を目で追い掛けて時間を潰していたのだけど。いつの間にか姿を消していた隣の人物の行方に目星を付ける前に声を掛けられる。
「…A、ですね？」
「…久しぶりだなあ。こんな立派に成長して。私は嬉しいよ、永四郎。裕も、元気にしてたみたいで何よりだよ」
すっかりと声変わりを経た様で、大人に近付いてきた証拠を抱えて幼馴染は私の元へと現れた。背も伸びて、骨格がしっかりし始めているのが分かる。特に永四郎は大人びていて、最早中学生だとは思われない様になってしまっている。…これのお陰で“ 殺し屋 ”なんて呼ばれているのだろうか。
「…何で、
「何で、って。…呼ばれたの」
「呼ばれた？」
「そう。日本代表候補に選ばれた。…それが、今年の四月」
四月、そう告げた瞬間に裕は何で、と騒ぐ。私だって本当はもう一年向こうで生活している筈だった。日本から離れたかった心も無い訳ではなかったけど呼ばれた事自体も光栄だったから、承認して帰国して来たんだけど。…それを言っても今は聞いてくれそうに無いかなあ。どうなんだろう。
「…何故、俺に言ってくれなかったんです」
永四郎の一言とにらみでで裕は黙り込んでしまう。仕方無い。彼の視線はかなり鋭いから、睨まれてしまえば気が竦むのも分からなくは無い。
「もし仮に言ったとして、その瞬間に永四郎はすぐにでも会おうとするからね」
「本心、見抜かれてんなあ」
小さく呟いた裕の声に永四郎はじろりと更に鋭く睨む。竦んだ喉から思わず漏れた様な裕の悲鳴を聞いて、苦笑いを浮かべた。
「ひっ」
「昔からその調子なのは分かってるけど威圧するだけじゃ上には進めないな…でも、ちょっと厳しいけど永四郎は昔からよく頑張ってたから偉いと思う」
「…A」
「木手ばっかりズルいやっしー！なあA、
遂には永四郎がまだ踏み込めない範囲になるスキンシップにまで裕は入り込んでくる。思い切り抱き着かれて、私としては今は何も思わないから構わないんだけど。
「甲斐クン。Aを困らせないで下さい」
「良いだろ、
何だか分からないけど取り合いの様なものに発展してしまった。とても困る。彼らの試合は終わったのかまだなのか私は知らないから。幼馴染二人に会えたのは良かったけど。
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唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました！ 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (
レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍梓 | 作成日時：2017年12月7日 22時
