Tennis match No.22 ページ23
私は他の三人と途中まで16面コートへと戻ってはいたけれど、途中で聞いた事のある様な声を聞いて途中で別れた。ああ、日差しが痛い。思わずフードを被ってしまった。支給されているジャージだけじゃ肌寒くて仕方が無く、特別に許可を貰って黒のパーカーを中に着ているんだけど…やっぱり冬に近付いていても日が強い時もあるし、寒いからフードを被ってしまおう。本当はコーチ達のモニタールームから出られるテラスから中学生達の様子を眺めたかった。けどそれよりも年下に対して喧嘩に似た事を吹っ掛ける馬鹿には制裁が必要だと思って。特に隠れる必要性も感じなくて、高校生達の背後に立つ。
「何をやってるのかな、君達は。さっさと戻ってくれる？」
ただ一言発しただけで逃げ出した高校生達の怯えっぷりには寧ろスッとした気分を覚えた。そうして十人程の彼らに向き直る。
「ようこそ、U-17へ」
「君は…？」
「…いずれ分かる時が来るよ、青学ご一行様」
フードを取る事も無いだろう。何となくだけど、まだ正体を露見するのは勿体無い気がした。案内を買って出て、彼らを背後に施設へと続く道をゆっくりと進む。途中途中で聞こえる彼らの会話に耳を傾けているだけでも十分に楽しくて、思わずフードの下で小さく笑ってしまった。懐かしさが感じられて、自然と気が緩んだのかも知れない。
16面コートに遅れて到着すると、私は彼らと別れて奏多の元へと向かう。やはり自然と足が向くのだから、気を許してしまったのだろうか。嫌な予感はそれを感じた瞬間からずっと燻っていて、肥大している気がする。自分の頬を両方の掌で軽く叩いて意識の覚醒を図ってから身体を上に伸ばす。
「やあ、A。中学生達を連れて来たんだ？」
「まあ…。いたいけな少年達が悪い年上に絡まれてるのを見て、何かつい」
「君が返り討ちに合わなくて良かったよ」
わざとらしい言葉の選び方にムッとするも何かを言ったりする事は無い。慣れた。ただ一言だけ告げてやればそれだけで目の前の彼の仮面は剥がれ落ちるんだから。
「それは建前でしょ、奏多」
一瞬の瞳の見開きが彼の本当の感情。感情まで誤魔化せてしまう奏多の演技には感服と同時に呆れも私の心には訪れるから、一度痛い目を見ないとその演技を程良くにはしてくれないのだろう。…痛い目、というよりも懲りてくれたら尚良いんだけどまあそんな簡単にいく訳無いか。
誰とも知れずの息を吐いている私は、きっとここ数日で参っている様だ。
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唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました！ 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (
レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍梓 | 作成日時：2017年12月7日 22時
