Tennis match No.21 ページ22
私、奏多、徳川くん、鬼くんの四人が通常運転だから自然とコートを使う時もクロスで打ち合いをする事が多くなった。コートが二面あれば一番良いんだけど中々そう上手くいく訳でもあるまいし。でも珍しく二面空いていたから、ちょっとした試合形式の様な打ち合いもできるのは醍醐味だし魅力がある。
「…相変わらず演技が上手くて何より」
「ふふ、Aも衰えてないよね」
「常に鍛えてるから。勿論君達もなんだけどさ」
コートがずっとグリーンだと、ハードコートが恋しくなるのは普通なのだろうか。ロシアじゃグリーンが珍しかったくらいなのに。土地の寒暖差なのか。ぼんやりとしやすくなったのはやっぱり。
「…あと三十分くらいで来るってさ」
中学生達の存在だ。溜息に混じった声が何だか自分のものじゃないみたいで、違和感も覚える。思わず気味悪さに負けて悪寒を感じてしまうと、今更ながら夏頃に見た彼らに出会う事に恐怖までを抱いてしまいそうでまずい。…本当にまずいのは幼馴染の方だから私も重症なんだ。
「おい、向坂」
「な、に」
「アンタ、顔色悪いぞ」
隣のコートで鬼くんと打ち合っていた徳川くんに言われて奏多が駆け寄って来た。顔をしかめられたけど…うーん、何でだろう。結局心配を掛けてしまっているのは申し訳無いんだよね…むず痒くて、居た堪れない。
「…大丈夫だって。緊張してるんだよ、きっと」
我ながら薄くてひらひらとした笑みを浮かべたと思う。そのまま屈み込んでしまわなければ完璧だったのに。視界いっぱいに広がるハードコートの色が空の色とはミスマッチ。空は清々しいくらいの晴れ模様だよ、馬鹿。最終的にはコートに寝転がって空を見上げていた。雲に、手が届く様な気がしたんだ。
そして、夏の全国大会に出場した中学の男達がこのU-17の合宿所にゆっくりと向かって来ているのだった。
─────
ようやく現在軸に戻せる様になりました。過去編という事で書いていましたがとても面白くて、完結まで待った無しで書き始めそうです。高校生の三人と仲が良い様が特に強いですね、初期の予定と変わって来ているので作者の私がタジタジです。また、Aさんのロシアへ飛ぶ前の過去もどこかで必ず出そうと思っているので宜しくお願いします。
300hitsもしていてとても喜んでおり、わたしとしてはもっと頑張ろうと思っている所です。自己満足で始めたものですが読んで下さる方々に出会えて感謝感激です。
藍梓
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唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました！ 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (
レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍梓 | 作成日時：2017年12月7日 22時
