Tennis match No.15 ページ16
ネットを跨いだ挨拶に対しての冷酷な瞳は、彼の信条故のものだ。こんな所で怖気付いてはいけないんだ。自前のラケットのガットもグリップも、本調子を持たせて迎え撃つ。流石に当たり前だけど、初日の様にやらかしたりはしない。今回は公式戦だからテニスシューズに自前の黒のジャージ。まだ色を貰えないのはあれだけど、まあ。
審判の掛け声で試合はスタートした。…私も彼も互いにプレイスタイルを知っているからこそ小手調べの様にしたサーブは打たない。どうせ返される。真上へとボールを放り、打点を高くする為に飛び上がる。身長はジャンプでカバーするに限る。負担は掛かるし体力は消耗するにしろ、打点が低いと入りにくい。まるでスマッシュの様になったサーブを難も無く返球してくる目の前の彼の表情は不敵な笑みになっていた。感じた寒気は、本物だ。
左側にクロスで返ったボールには斜めに回転が掛かっていて、返しにくい。早速返球でラケットを裏表に回さなくちゃならないのが本当に苦痛。しかも重い。手加減されてないのが嬉しいけど。バックハンドで受けて、滑る様にガットを下るボールを見ながら威力を消す様に右手だけで持つグリップに左手を添える。添えるだけだから裏表を回すくらいはできる。そのまま斜めに回転を掛け直してボールを切る様に打ち返す。可能性を無視してしまえ、そのボールは必ず入るんだ。
彼の足元をすり抜けてコートラインの上に落ちたボールは高く跳ねる。そのまま私の手元へと戻って来た。横から受ける視線は入江くんだろうか、彼の事だから気になっていると思う。私の今の所作に。
「…ほう」
「…二の形型…青龍。こんなものだと思わないで下さいな」
ロシア帰りのテニスをナメないで。
─────
ようやく出せたAさんの技の一つ。
青龍
ラケット上を滑らせて威力を弱めて急回転で速度アップの後に高く跳ねる様を龍と捉えたもの。ボールが手元へと戻る事はよくあるが、外へ出る事もある。
元ネタは中国の四神です。
また出す機会があるので覚えて頂けたら幸いです。
入江くんが近過ぎたのは些かな問題ですが、ようやく感じる夢小説という感覚はどうでしょうか。またAさんの技はトリッキーなものを予定していますのでご注意下さい。
※現実ではありえない動きなどもあります。
藍梓
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唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました！ 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (
レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍梓 | 作成日時：2017年12月7日 22時
