Tennis match No.10 ページ11
取り敢えず身なりを整える。埃っぽい部分はブラシを使って限界まで何とかする。幾分はマシになった姿を大きな鏡と睨めっこしながら確認して、黒部コーチが居ると言われるモニタールームへ行かなくては。
さっきの彼らの人影は見えなかった。安堵を覚えたと同時に、歩調は緩んだ。余計な心配をしなくて済む。モニタールームに向かうなんて滅多に無いだろうし、普通の高校生は特に無いと思う。ちょこちょこ見かける案内書きを頼りに、ようやく辿り着く頃には日が傾き始めていた。三船監督の所で時間を潰し過ぎたかな？それとも少しふらふらし過ぎたか…どっちにしろもう時間は過ぎた訳だから気にする必要も無さそう。
「失礼します」
ノックを三回、そして扉に手を掛けて開く。そこには黒部コーチと齋藤コーチがいた。アンバランスなコンビの様な。兎にも角にも、報告は念の為にしておかなくちゃいけないんだから、と言い聞かせて私は黒部コーチに声を掛ける。
「コーチ」
「…ふむ、あなたの様子を見る限り、終わった様ですね」
「ええ。挨拶回りくらいできなくては困るでしょうに」
「それもそうですね」
「お疲れ様、向坂くん」
「どうも、齋藤コーチ。それで、明日は三船コーチの方で訓練を受ける事にしたいのですが、柘植コーチには伝えておいて頂けませんか」
「良いのかい？彼、凄く楽しそうにメニューを組んでたみたいだけど」
「勿論翌日からは柘植コーチのメニューをこなすつもりですが」
「構いませんよ、私から伝えておきましょう」
「ああ、それと。今日の内、空いているテニスコートはありますか？」
「今なら…そうですね、コートAが空いています」
「有難う御座います。何かあればそちらにお願いします」
ぺこりと礼をしてからモニタールームを出る。私は飛行機に乗った時間が長いから、最後にラケットを握ったのだって何日か前。鈍りに鈍っている。壁打ちくらいはしたいものだから。でも自前のラケットもボールも部屋だ。…取りに行かなくちゃだな。また誰かに会ってしまわなきゃ様にと願いながらに元来た道を戻る。今のところ、迷わずにいるのは恐らく運による。しかもその運は日によって変動があるから、迷う日はとことん迷う。傍迷惑な話。そんな運はいらないと言いたいけど、別に誰が付けたとか付けないとかそんな次元の話じゃないから諦めている。
何事も無く部屋に戻り、テニスバッグを肩に掛けてコートAに向かう事にした。
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唯(プロフ) - 初コメント失礼します....! 入江奏多先輩好きなので、思わず舞い上がりました！ 素敵な作品をありがとうございます(*^^*) 長文失礼しましたorz (2018年1月19日 19時) (
レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月7日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍梓 | 作成日時：2017年12月7日 22時
